The Shuttleworth Collection, United Kingdom

ロンドンのキングスクロス駅から列車で約1時間(80km)。英国東部のベッドフォードシャー州には、田園地帯に広がる町、ビッグルスウェード(Biggleswade)がある。なだらかな丘陵地が広がるこの土地には、1928年に設立されたシャトルワースコレクションがある。 ここのコレクションでは、1909年から1950年代までに製造された飛行可能な航空機を多く所有し、コロナ禍においても感染対策を取り、5月より年間を通じ、特別な飛行イベントを予定している。


蘇る大英帝国の翼

約60エーカー(東京ドーム5個分に相当)に及ぶ敷地には飛行場を含め6つのハンガーがあり、航空機の展示やその修復・修繕作業を見学することができる。所蔵する航空機はレプリカも含め68機(内48機が飛行可能)に及び、欧州での大戦航空機コレクションの本拠地である。この中には飛行可能な最古の航空機であるブレリオXl(1909年製造/フランス)がオリジナルのエンジンを搭載して保管されている。また、1912年製で英国最古の航空機、ブラックバーンタイプD単葉機、1934年のレースで優勝したデ・ハビランドDH.88コメットや1938年製のウェストランドライサンダーなどの機体も重要なコレクションとなっている。驚くべきことは、ここの航空機のいくつかは現在100年以上前の機体も整備され、飛行可能状態にあるということである。

ここのコレクションの中で人気の衰えない航空機としては、第一次大戦で活躍したソッピース・パップ、ブリストルF2Bや両大戦間の平和な時代に活躍したデ・ハビランド・モス、ホーカー・ハインド,そして第二次大戦で活躍したグロスター・グラジエーター、ホーカー・ハリケーン、スーパーマリン・スピットファイア等、今まで写真や模型でしか見た事が無かった往年の名機達を順路に沿って見学することができる。


英国航空機産業の覇権

「航空機」は第一次大戦中(1914年−1918年)に歴史上初めて大量生産された新兵器であった。当時英国は、フランスとともに航空機生産の先進国であり、機体生産数においては世界第一であった。「大英帝国」として世界の覇権を獲得した英国は、航空技術力を武器の一つとしてきたが、しかし第二次世界大戦(1939年−1945年)中はドイツ、イタリアの航空技術力や生産力も肉薄し、中小の航空機メーカーが乱立した英国の航空機産業は、新型機の開発や製造に時間を費やし、また工場規模が小さく大量生産がし難い環境にもあり、アメリカの軍事援助に依存した状態にあった。ここでは、乱立した英国航空機産業の中でも当時、特色のある航空機製造会社を紹介する。


アブロ(Avro)

1910年1月1日に設立された世界初となる航空機の製造の会社であり、A.V.ロー・アンド・カンパニー (A.V.Roe and Company) の通称であった。1912年、同社はアブロ504を開発、翌年には生産が開始され、英国陸軍航空隊、海軍航空隊へ配備された。日本にも1921年(大正10年)に陸上型(504K)68機と水上型(504L)10機が練習機として持ち込まれた。1935年には輸送機であるアブロ・アンソン(Avro Anson/11,020機生産)、1939年にはアブロ・マンチェスター(Avro Manchester/209機生産)爆撃機、1941年には、アブロ・ランカスター(Avro 683 Lancaster/7,377機生産 )戦略爆撃機が生産され、カナダ、オーストラリア、ポーランドなど10カ国で運用された。戦後は、ランカスターを基本に哨戒機アブロ・シャクルトン(Avro Shackleton/185機生産)、そして冷戦期に生産された戦略爆撃機ヴァルカン(Avro Vulcan/134機生産)が生産された。その後、アブロ社は1963年7月にホーカー・シドレー・アビエーションと合併し、社名としては消滅したが、長年のブランドイメージも大きかったため(これもまたホーカーが合併して発足したBAe製の)BAe 146が "アブロ・RJ" として2001年まで製造・販売されていた。


ホーカー・エアクラフト(Hawker Aircraft Limited)

第一次大戦後の1920年にH.G.ホーカー・エンジニアリングがテストパイロットであったハリー・ホーカーとソップウィス・エイヴィエーションの創始者であるトーマス・ソップウィス立ち上げた航空機メーカーであった。1933年に、ホーカー・エアクラフト社と社名変更を行ったが、その後、吸収合併が繰り返され、社名はホーカー・シドレー・エアクラフト (Hawker Siddeley Aircraft) となった。

ホーカー・エアクラフトの代表する航空機では、1935年11月6日に初飛行したレシプロ単発・単座戦闘機ハリケーン(Hurricane)である。この機体はロールスロイス・マリンエンジンを搭載したが、や胴体には木材や帆布を多用し、エンジンやコクピットは鋼管をアルミニウム合金で覆ったものであり、前時代的といわざるを得ない旧式な構造であった。しかし、一方で軽くて頑丈でもあり、その余裕のある構造から戦局に伴う改良への適性、被弾時の機体や乗員のサバイバビリティにも優れていた。また、レーダーから探知されにくいという副次的な効果を生み第二次世界大戦において英国空軍を始め、連合軍でも使用され約14600機が生産された。その後も戦闘爆撃機として活用されたタイフーン(1940年)、そしてタイフーン戦闘爆撃機の発展型として開発されたテンペスト(1942年)、テンペストを原型機としたレシプロ艦上戦闘機シーフューリー(1944年)が開発された。


デ・ハビランド・エアクラフト・カンパニー (de Havilland Aircraft Company)

英国初期の航空機製造会社エアコ-(Airco)社のチーフエンジニアであった外フリー・デ・ハビランドが創設した航空機メーカーであり、創業当初はエアコ-社から引き継いだ単座、もしくは複座の複葉機DH.60.ジプシーモスとDH.82タイガーモスであり英国からの大陸間飛行での航空記録の樹立にも貢献した機体であった。その後、1928年にはモスシリーズを飛行士訓練機としてカナダで製造するためにデ・ハビランド・カナダを設立した。

1930年代に入るとレース専用機(エアーレース)として双発の木製高性能機DH.88コメットを生産し長距離レースでの優勝や同じ年に就航したDH.89ドラゴンラピード旅客機など、世界大戦下でアルミニウムの不足に対応する木製構造に対する豊富な経験によりDH.98モスキート爆撃機を誕生させたことでも有名である。



スーパーマリン・エイヴィエーション・ワークス(Supermarine Aviation Works)

第二次世界大戦時のイギリス空軍の主力戦闘機、スピットファイアを製造したことで知られている航空機メーカー。1936年3月にはスピットファイアの原型1号機(シリアルナンバーK5054)が初飛行に成功が、2年後の1938年には会社が統合され、「ヴィッカーズ・アームストロング(エアクラフト)社(Vickers-Armstrongs (Aircraft) Ltd.)」となり、単体の企業としては消滅したが、この後も製品にはスーパーマリンのブランド名を使用し続けた。

「救国戦闘機」として名を馳せたスピットファイアは、大戦を通じて改良を加えオランダ、フランス、トルコなど世界20ケ国以上で運用され、また英国空軍以外でも海軍の艦上戦闘機「シーファイア」としても運用され朝鮮戦争にも出撃したが、その後、BAC(British Aircraft Corporation) に統合され、1960年にスーパーマリンのブランド名は消滅した。


ロンドン市内からのアクセスも悪くなく、開館時間から閉館するまで、機体の見学や、修復作業の見学など見どころが多く飽きることがないこの博物館には、是非とも訪れてほしい。


 訪問のための一般情報

The Shuttleworth Collection 住所 :Shuttleworth Old Warden Aerodrome     Biggleswad, Bedfordshire SG18 9EP 電話 : 01767 627 927

ホームページ: https://www.shuttleworth.org/explore/the-collection/ 開催時間  : 2月15日から10月31日まで    10:00 – 17:00

        11月 1日から2月14日まで     10:00 - 16:00

閉館 : 12月20日から1月1日まで


入館料 :大人 £15 子供: 無料(1£=155円/2022年2月現在) 列車でのアクセス:シティ テムズリンク(ThomesLink)を利用してロンドン市内から約50分。最寄駅ビッグルスウェード(Biggleswade)駅からタクシーで10分。**無人駅:タクシーは駅備え付けの案内板に沿って、連絡を入れると配車される。


◽️掲載誌: 月刊航空情報 5月号/2022年 セキレイ社


General information for visits


The Shuttleworth Collection

Address : Shuttleworth Old Warden Aerodrome

    Biggleswad, Bedfordshire SG18 9EP

Tel : 01767 627 927

Website: https://www.shuttleworth.org/explore/the-collection/

Opening hours: 15 Feb - 31 Oct 10:00 - 17:00

        1 Nov to 14 Feb 10:00 - 16:00

Closed: 20 December to 1 January


Admission: Adults £15 Children: free (1£= ¥155 / as of Feb 2022)

By train: 50 minutes from City of London via City ThamesLink (ThomesLink). 10 minutes by taxi from the nearest station, Biggleswade. **Unmanned station: taxis are dispatched by following the information boards provided at the station and by contacting the station.


◽️Published Magazine: Monthly Aireview, May/2022, Sequirey S.A.



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