The British Airliner Collection At IWM, Duxford Cambridgeshire, Great Britain
The British Airliner Collectionはダックスフォード航空協会によって維持・保管されImperial War Museum(IWM) Duxford(ダックスフォード帝国戦争博物館)と協力関係の中で民間機の機体を展示しており、オリジナルの展示機パンフレットも印刷されている。ダックスフォード帝国戦争博物館 (Imperial War Museum Duxford) と言えば、航空機ファンであれば知っているイギリス ケンブリッジシャー州のダックスフォードにある航空博物館・戦争博物館である。 第一次、二次世界大戦ではイギリス空軍の基地、第二次世界大戦後期にドイツへの空爆拠点としてアメリカ陸軍航空軍 (USAAF) に供与し、1945年12月、イギリス空軍に返還され、1977年に現在の博物館として開館した。
飛行可能な第一次・二次世界大戦の戦闘機を中心に200機以上の航空機が展示され、その規模に圧倒されるダックスフォード帝国戦争博物館であるが、民間航空機のコレクションも常時12機が展示され、イギリスの民間航空発展の中で重要な役割を担った60年から70年代にかけて活躍した民間機にスポットライトを当て訪問した。
イギリスを代表する英国航空(BA/ British Airways)は1935年に創設された国営英国海外航空British Overseas Airways Corporation(BOAC)と1946年に設立された国営英国欧州航空(British European Airways/BEA)が,1971年に合併し現在の名称となった。イギリスの民間航空史を紐解くには「大英帝国」時代の植民地政策まで遡ることになる。第二次大戦から大戦後にかけて、イギリス領インド帝国や香港、シンガポールなどの極東に点在するイギリスの植民地とオーストラリアなどのイギリス連邦諸国、アフリカ線向けの路線拡大を進めてきた。植民地が独立した後も、路線網は現在もBA(British Airways)によって維持され、イギリスにおける民間航空機開発はまさに大英帝国の「植民地支配」の道具として開発が進められてきた歴史がある。
ビッカースVC-10 (Vickers)
50年代BOACは世界最初のジェット旅客機であるデハビランド コメットを保有していたが、航続距離が短い上に座席数が少ないだけでなく、エンジンの出力不足という問題があり、特にパキスタンとシンガポール間の運行に向かず、また、ナイロビといった高度の高い空港では最大搭載量まで荷物を積み込むことが出来なかった。
ビッカース社が提案したVC10は自動航法制御システムの搭載だけでなく高温、高地での離陸性能を追求した航空機であり、T字尾翼にリアエンジン方式という斬新なデザインであった。VC-10は開発中に50機もの発注が入っていたが、その後開発が難航し1962年7月に初飛行したが、ライバルのボーイング707に遅れること6年、ダグラスDC-8に遅れること5年の1964年4月になって初号機がBOACのロンドンとラゴス線に就航した。
ライバル機に比べて就航が大きく遅れたため発注がキャンセルされ、1970年に生産が中止されるまでにイギリス国内向けに55機、アフリカなどに9機が引き渡されるに留まった。
展示されているG-ASGCは1965年1月1日に初フライトし、その後、シャノンでの乗務員訓練機として使用され、同年5月に北大西洋線に就航した機体であり、最終フライトは1979年10月22日のアムステルダムからロンドンの短いフライトであった。1980年4月15日にダックスフォードに寄贈された機体である。
ホーカー・シドレーH.S. 121・トライデント(Hawker Siddeley Trident)
デ・ハビランド・エアクラフトが1950年代にBEA(英国欧州航空、現・ブリティッシュ・エアウェイズ)の要望する欧州域内用の中距離旅客機として開発を開始したことに始まる。1962年に初飛行し、定期路線就航したのは1964年であった。
機体レイアウトはボーイング727やツポレフTu-154と同様に尾翼付近にエンジンを3発設置するリアエンジン方式を採用しており、前2社よりトライデントの方がコンセプトとしては先の開発であり、また世界で初めて自動操縦による着陸が認可された機体でもあった。
トライデントは当時、高度の先進性を備えていたにもかかわらず、エンジンパワー不足や座席数の少なさなどイギリスやパキスタン、セイロンなどのイギリス連邦諸国と中華人民共和国以外から受注を取ることはできず総生産数は117機に留まった。
展示されているG-AVFBは1967年11月2日に初飛行、1977年5月から1982年3月27日かまで、ロンドンからマンチェスター間のシャトルフライトで活躍し、1982年6月13日にダックスフォードに収められた機体である。
BACワン・イレブン(BAC One-Eleven)
BAC 1-11は、ダグラスDC-3やコンベア240などに代わる短中距離ジェット旅客機として、イギリスの航空会社の発注を受け生産が始まった機体であり、1965年に運行が開始された。BAC1-11はヨーロッパ諸国やアメリカ、ブラジルなど世界各国の航空会社でも短中距離用機材として多数発注され、イギリスのジェット旅客機としては商業的に最も成功した機体でもあった。 ブリティッシュ・エアクラフト・コーポレーションを吸収したブリティッシュ・エアロスペース(BAe)によるBAe 146の生産開始に伴い、1982年に生産が中止されたが、その後ルーマニアに生産設備が移管され、「ROMBAC 1-11」として1989年までライセンス生産された。
展示されているG-AVMUはBAC-1-11 Type510で1969年1月19日に初飛行し、主に近隣のヨーロッパとマンチェスター、ロンドン線に投入されていた機体である。1993年3月4日からダックスフォードに展示されている機体である。
<インフォメーション>
The British Airliner Collection
At Imperial War Museum Duxford
所在地 :Cambridge CB22 4QR United Kingdom
電話番号 :+44 (0) 1223 835 000
Website:http://www.iwm.org.uk/duxford
開館時間 :夏場(3月中旬から10月下旬) 10:00−18:00
冬場(10月下旬から3月中旬) 10:00-16:00
休館日:12月24日、25日、26日
入場料 :大人 £17.50 子供 £8.75 / 2015年11月現在
アクセス :ロンドン(キングスクロス駅)からケンブリッジまでは列車で約45分、ケンブリッジからは路線バスに乗って45分くらい(日曜日のバスの本数は少ないのでご注意を/博物館から帰るバスの時間を必ず確認のこと ケンブリッジ駅行き最終バス15:30 / 2015年11月現在)。
列車料金 片道 £23
路線バスの運賃 片道 £ 4 (往復で購入すると£ 6.40) / 2015年11月現在
車では高速道路M11(J10出口)からすぐ。
◽️掲載誌:月刊エアライン 2016年7月号 / イカロス出版
Information
The British Airliner Collection
At Imperial War Museum Duxford
Location: Cambridge CB22 4QR United Kingdom
Phone number: +44 (0) 1223 835 000
Website: http://www.iwm.org.uk/duxford
Opening hours: Summer (mid-March to late October) 10: 00-18: 00
Winter (late October to mid-March) 10: 00-16: 00
Closed days: December 24th, 25th, 26th
Admission: Adults £ 17.50 Children £ 8.75 / As of November 2015
Access: Approximately 45 minutes by train from London (King's Cross Station) to Cambridge, and approximately 45 minutes by local bus from Cambridge (Please note that the number of buses on Sunday is small / Be sure to take the bus time to return from the museum Confirmation: Last bus bound for Cambridge Station 15:30 / as of November 2015).
Train fare £ 23 one way
Route bus fare £ 4 one way (£ 6.40 for round trip purchase) / As of November 2015
By car, it is a short walk from the M11 (J10 exit) highway.
◽️ Magazine: Monthly Airline July 2016 / Ikaros Publications, Ltd
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