The 53th Paris Air Show, Le Bourge France
2019年6月17日(月)から6月23日(日)までの1週間、Le Bourge(ル・ブルジェ)空港にて第53回パリ・エアショー(The 53th Paris Air Show )が開催された。 主催者はSalon International de l'Aeronautique et de l'Espace(SIAE)で、今年は2381社の出展社、主催者発表来場者数は○○人であった。会期前半の17日~20日は商談が中心で、民間向け/軍用航空機の静的展示や飛行展示、カンファレンス、商談会、プレス発表などが行なわれており、後半の21日~23日は一般公開日として開放された。
半世紀を迎えたAIRBUS の実力
今年はエアバス(AIRBUS)社、そしてブラジルのエンブラエル(EMBRAER)社にとっては会社設立以来、半世紀を迎える年となり、展示から商談会、メディア戦略への力の入れようも前回以上であった。
エアバス社は、A350-1000やA330neo、A220(旧ボンバルディアCシリーズ)などを出展し、
飛行展示(フライトディスプレー)は、A350-1000とA330-900(A330neo)の2機種。週末の一般公開では、ハイフライ(HFY/5K)のA380も加わり充実した展示飛行が実施され、来場した観客を魅了した。 一方で、展示会場のAIRBUS社ブースでは大人から子供までが楽しめるシュミレーショター体験コーナーなどを設置、参加者にはもれなくAIRBUS社の記念品がもらえるまさに「子供の時からAIRBUS」を染み込ませる戦略は長年の経験値からはじき出されたAIRBUS社の自信の表れといえるかも知れない。
もう1社、リージョナルジェット世界最大手であるブラジルのエンブラエルは、低燃費・低騒音の新エンジンを採用した次世代機「E2」シリーズで最大サイズのE195-E2などを出展。 その塗装では2017年のパリ航空ショーではイヌワシ、2018年3月のシンガポール航空ショーではトラ、同年7月のファンボロー航空ショーではサメと、毎回、魅惑的な機首デザインで話題をさらっている同社だが、今年はシックなカラーリングでコンピューターの基板を模したライオンと電子基板デザインの「Profit Hunter」が展示された。
一般公開日でも見たかった日本の航空機
さて、日本勢は航空自衛隊のC-2輸送機とP-1哨戒機が展示。しかし、「MRJ(三菱リージョナルジェット)」から改称された、三菱航空機が開発中のリージョナルジェット機「三菱スペースジェット(Mitsubishi SpaceJet)」を出展したが、一般公開日以前にアメリカへ戻り、新塗装の飛行試験3号機(登録記号JA23MJ)は見ることはできなかった。 また、本田技研工業(7267)の米国子会社ホンダ エアクラフト カンパニー(HACI)の小型ビジネスジェット機「HondaJet(ホンダジェット)」も、ドレードデイの会場に華を添えたが、一般公開日ではその勇士を見れなかったのはさびしい限りであった。
AIRBUS社の週末
素晴らしい展示飛行を披露
土曜日、日曜日の午後12時過ぎか17時まで展示飛行により会場が沸いた。戦闘機、民間機、ヘリコプター、グライダー、曲芸飛行、大戦機のデモフライトなど様々な航空機が次々と飛び立つ。 しかし、メインステージはAIBUS社の大型航空機のデモフライトであった。A350-1000やA330neo、A220(旧ボンバルディアCシリーズ)など、次々に初夏のパリの青空を飛行するその雄姿には、ある意味欧州における絶対的な地位を確立した「余裕の展示飛行」であった。
さらに、今回のパリ航空ショーでは、A321neoの航続距離を延長したA321LRをさらに延ばした超長距離型「A321XLR」をローンチ。 航続距離は単通路機では世界最長となる8704キロで、7408キロのA321LRと比較して、15%飛行距離が延びたことになる。
東京を起点とした場合、シドニーやデリー、アンカレッジ(米アラスカ州)などへ飛行できる事になる。AIRBUS社の技術の進化をこの世界の檜舞台で惜しげもなく披露したことに今年のパリ航空ショーでの同社の優位性を確信した次第であった。
尚、世界では2強の米ボーイング(Boeing)とAIRBUS社。両社はブラジルとカナダの同業他社をそれぞれ傘下に収め、小型機民間機に注力する構えも見せ始め、ここに日本企業がどこまでシェアを伸ばせるのか、今後に注目していきたい。
◽️掲載誌:月刊エアライン2019年9月号 / イカロス出版
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