Suomen Ilmailumuseo, Vantaa, Finland

スカンジナビア半島の根元に位置するフィンランド。その首都ヘルシンキは、バルト海の港町で、映画「かもめ食堂」の舞台ともなり、日本人も多く訪れる観光都市である。 そのヘルシンキの表玄関、ヴァンター(Vantaa)国際空港の一角、航空公園区画として開発されたエリアにフィンランド航空博物館(通称:ヴァンター航空博物館)がある。

この航空博物館は1969年12月に開館し、フィンランド国内外の航空機を常時80機以上が展示されている。 

今月号では、フィンランドにおける第一次大戦から第二次大戦に活躍した水上機や各種戦闘機、そして1950年代以降の民間航空機の発展過程を紹介する。


水上飛行機が空軍の原点

湖沼が国土に広がるフィンランドでは、必然的に水上飛行機の運用が発達した。20世紀初頭、ソビエト連邦(現:ロシア 以下ソ連表記)が残した12機の水上機の運用がフィンランド空軍創設の起源であると言われている。 そして、第一次世界大戦後に敗戦国となったドイツでは、航空機製造はヴェルサイユ条約によって禁止されたため、当時、エルンスト・ハインケル(Ernst Heinkel)を筆頭にドイツの優れた水上機製造技術はフィンランドやスウェーデンに流出し、その後の北欧における航空技術の向上にも貢献をもたらした。

この航空博物館では、1922年から4年間に渡ってフィンランド国内で120機生産されたIVL A22ハンザW.33が展示されている。この機体はハインケルが設計し、ドイツのハンザ・ブランデンブルク社で製造された単葉水上機であり、当時ファインランドのIVL社がW.33の製造権を購入し自国内で生産された水上航空機であった。

もう一機注目すべき水上機はフィンランドで設計され1928年に初飛行したVL Sääski (英語名: Mosquito)である。 フィンランド空軍では1928年-1943年までの15年間にわたり32機のVL SääskiIIを操縦訓練・偵察用として運用し、最終生産機数は38機であった。


対ソ防衛のため多種多様な軍用機を利用

ソ連と国境を接し、常に戦闘脅威に晒され、国力の差を感じた当時のフィンランド政府は、オランダから購入しライセンス生産したフォッカーDXXl(36機)、イギリス製のブリストル・ブルドッグ(10機)、フランス製モランソルニエMs.406(50機)、アメリカからブリュースターF2A(フィンランドB239/20機)などが貸与され全土に配備された。しかし、何れの航空機も「戦う」ことに満足できるだけの機数はなく、機種的にも第一線を退いた旧式戦闘機が多く、大国ソ連相手に対等に戦闘できる状態ではなかった。 1941年、フィンランドはドイツと密約を結びソ連に対するドイツ軍のバルバロッサ侵攻作戦に乗じ、ドイツからの兵器の供給を受けた。 これによりメッサーシュミットBf109Gが配備され、やっと「戦える」戦闘機を配備することになる。

しかし、ドイツ軍が東部戦線で敗れると軍備力で弱小なフィンランドの戦力は瞬く間に疲弊し、1944年9月19日にソ連から持ちかけられた講和を受け取り、停戦となった苦い歴史的背景を背負うことになる。 当時のフィンランド空軍においては、軍事力を向上させるだけの国力もなく、隣国からの支援により運用してきた多種多様の航空機を活用していくことしか出来なかったのである。


フィンランド民間航空の礎

Flying Finn

日本とフィンランドの民間航空協定は40年前の1980年12月に締結され、以来、成

田、関西空港を中心にFinnairは日本への就航を果たした。 また2016年5月からは福岡線を開設、2019年5月からは中部(名古屋)-ヘルシンキ線に最新鋭のエアバスA350を投入し、積極的に観光誘致にも力を注いでいる航空会社である。そのルーツはフィンランド航空の前身「アエロ・オイ(Aero O/Y)」が1923年11月1日に民間航空会社として設立し、ドイツ製のユンカースF-13(機体番号D-335/K-SALA)を導入したのが始まりであった。 

読者の方もご周知のとおり、第二次大戦後の西側諸国において民間航空の基礎を作ったのは、アメリカ製のダグラス(Douglas) DC-3と言っても過言ではない。

DC-3の初飛行は1935年。飛行性能と輸送力・経済性などバランスのとれた航空機であり、第二次世界大戦で生き残った数千機のDC-3(軍用名称C-47)の多くは民間向けに放出された。 これによりDC-3はアメリカ国内のローカル航空会社、そして世界の航空会社に安く引き取られ、世界中にあまねく行き渡った。フィンランドも例外でなく、輸送能力と経済性に優れた機体によって1950年代にかけて路線拡大に貢献した航空機であった。 その後、旅客機の大型化が進んだため、DC-3は過去の機体となったが、ローカル航空路線や不定期輸送用(チャーター)として1980年代まで広く運用された。


注目される展示機の中でもう一機、アメリカのConvair(コンベア)社が開発したレシプロ双発旅客機である340と440である。ともに初飛行は1950年代であり、DC-3の後継機の位置づけで開発が進み、エンジンの強化や気象レーダーの搭載など多岐にわたって民間航空の近代化を促した機体であった。展示機のOH-LRB(cn.73)は1953年にAero/Finnair Oyに納められた機体である。 また、本機は古のFinnairのブルーを基調にした塗装が施され、キャビン内の見学ができるようになっている。

この航空博物館からフィンランドにおける軍用と民間航空機の発展と運用の歴史について学び、他の西側諸国とは質の異なる航空機発達の変遷を知ることができる。

ヘルシンキを観光で訪れる機会があれば、空港からのアクセスも良く、時間を作っていただき訪問してほしい航空博物館である。



訪問のための一般情報


フィンランド航空博物館

Suomen Ilmailumuseo (Finland Aviation Museum)

Vantaa, Finland


住所 :Karhumäentie 12 (Tietotie 3), Vantaa

電話 :(09) 8700 870

E-mail :info@suomenilmailumuseo.fi

ホームページ:http://ilmailumuseo.fi/en/


開館時間 :月曜から金曜  10:00-20:00 土曜・日曜   10:00-17:00

1月1日、6月23-24日、12月23-26日、12月31日は休館

          (**新型コロナの影響で、ホームページで事前確認必要)

入場料 :大人10 euro, 子供(7-17歳)7euro, (2020年7月現在)  **ヘルシンキカードを見せて割引特典も利用可能

交通&アクセス

トランジットを利用して見学可能

ヘルシンキ空港到着ターミナル地下駅にはヘルシンキ市内を結ぶVR(国有鉄道)環状線/リングレイルライン(東京の山手線のように内回り、外回り)がとおており、空港駅から1つ目の「アヴィアポリス/Aviapolice」駅で下車、駅から徒歩3分で到着する。空港ターミナル駅からでも12、3分で航空博物館に到着可能である。


◽️掲載誌:月刊航空情報 2020年12月号 / せきれい社


General information for visits


Finnish Aviation Museum

Suomen Ilmailumuseo (Finland Aviation Museum)

Vantaa, Finland


Address: Karhumäentie 12 (Tietotie 3), Vantaa

Phone: (09) 8700 870

E-mail: info@suomenilmailumuseo.fi

Home page: http://ilmailumuseo.fi/en/


Opening hours: Monday to Friday 10: 00-20: 00 Saturday and Sunday 10: 00-17: 00

Closed on January 1, June 23-24, December 23-26, December 31

(** Prior confirmation is required on the homepage due to the influence of the new corona)

Admission: Adults 10 euros, Children (7-17 years old) 7 euros, (as of July 2020) ** Show your Helsinki card and get discounts

Traffic access

Can be visited using transit

The underground station of the arrival terminal at Helsinki Airport has a VR (national railway) loop line / ring rail line (inner loop and outer loop like the Yamate line in Tokyo) that connects the city of Helsinki, and is the first "Avia" from the airport station. Get off at "Avia police" station and arrive in 3 minutes on foot from the station. You can reach the Aviation Museum in 12 to 3 minutes from the airport terminal station.


◽️ Published Magazine: Monthly Aireview December 2020 / Sequireysha Ltd.

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