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RAAF Amberley Aviation Heritage Centre, Queensland Australia

ブリスベン市内から高速を使って車で約50分(50km)、オーストラリア空軍基地の中に今回紹介するアビエーション・ヘリテージ・センターがある。通常の航空博物館とは異なり、空軍が管理している施設であり、一般公開日は12月を除く毎月第3日曜日のみオープンと限定的であるが、丹念に修復された航空機コレクションからは、航空技術の進化やその歴史的変遷についても学ぶことができる。


RAAFの魅力的な機体展示

2011年6月5日にオープンしたRAAFアンバリー・アビエーション・ヘリテージ・センター(以降、AAHC)には、1940年から現在に至るまでのロイヤル・オーストラリアン・エアー・フォース(Royal Australian Air Force/以降RAAF)、特にサウス・イースト・クイーンズランド(South East Queensland/以降SEQ)におけるRAAFの航空史変遷の中で中核となる航空機が展示されている。

四つのハンガーからなる展示・資料館では、1910年代英国で開発され、第一世界大戦で活躍した複葉戦闘機ソッピース・キャメルのレプリカに始まり、オーストラリアのコモンウエルス・エアクラフト・コーポレーション(以降CAC)が製造した第二次世界大戦時の戦闘機CACブーメラン(Boomerang)CA-12、そしてCACウィンジール(Winjeel) CA-25練習機などの展示。朝鮮戦争にも投入されたCACセイバー CA-27(F-86)や60年代後半から80年代までRAAFで活躍したダッソー・ミラージュ、そして1965年に勃発したベトナム戦争に投入されたキャンベラ(Canberra)爆撃機やUH-1イロコイス(Iroquois)ヘリコプターなどの機体も当時の作戦行動パネルと実写真を見ながらの見学が可能だ。一方、アジアや南太平洋で多くの緊急救援任務に出動飛行したデ・ハビランド・カナダ製STOL輸送機カリブー(Caribou)やニューギニアのジャングルで7機の残骸から復元されたアメリカ陸軍航空隊で運用されたダグラス社製A-20 ハヴォック(Havoc)。パプアニューギニアとバヌアツの両国で医療・食料支援で活躍したピラタス・ポーターなど空軍の技術者によって修復された14機種の航空機など、まさに見応えのある展示となっている。またAAHCには、第二次世界大戦時の車両、勲章、武器、復元エンジンなど多くのコレクションも展示されており、同センターには、RAAFの歴史とその活動を紹介する展示品も見学することができる。誰もが飛行を疑似体験できるインタラクティブな展示から、さまざまな紛争や自然災害における人道的任務におけるRAAFの活動を紹介するギャラリーまで、あらゆる年齢層の訪問者を魅了する展示内容となっている。


RAAF 100年の道のり

2021年3月31日に創設100年周年を迎えたRAAFの歴史について触れておきたい。

オーストラリア陸軍の組織にあたるオーストラリア飛行軍団 (Australian Flying Corps) として1914年3月に航空部門が設立されたのがその先駆けとなった。そして同年7月から始まった第一次大戦では大英帝国の一員として参戦し、当時ドイツが支配していたニューギニアや西部戦線にもオーストラリア飛行軍団は投入されている。

第一世界大戦が終結するとオーストラリア飛行軍団は解体され、1920年にはオーストラリア航空軍団 (Australian Air Corps) として再編される。

一年後の1921年3月31日には小規模な独立軍種としてオーストラリア空軍 (Australian Air Force) として改編され、同年8月からは王立オーストラリア空軍(RAAF)に改称され、現在に至っている。

RAAFは1939年に始まる第二次世界大戦では連合軍として参戦しており、戦闘機や爆撃機を欧州戦域の対独戦と太平洋戦域の対日戦の双方に部隊を投入している。特に太平洋地域においては、マレー半島やインドネシアにおける防空戦闘、そしてニューギニアやソロモン諸島でも旧日本軍と長期に渡る交戦状態が続き、1942年2月に始まる旧日本軍によるオーストラリア本土への空襲にも備えなければならなかった。

第二次世界大戦後も、RAAFは積極的に本土外にて活動を行っており、1948年のベルリン封鎖時には、輸送機部隊を派遣、1950年6月に勃発した朝鮮戦争にも戦闘機部隊を派遣している。

ベトナム戦争期間中の1964年から1972年にかけてはRAAF第二飛行隊のキャンベラB.20爆撃機を派遣、また2003年3月から始まったイラク戦争でも戦闘機部隊を派遣している。

近年においては、国連軍の一員として「平和維持」、「人道支援」「災害救援」に積極的に参画し、世界平和の維持に日々貢献している。


必見の価値あり、AAHCの代表的な軍用機

<CAC ブーメラン(Boomerang)CA-12>

1941 年12月に日本が米国真珠湾(ハワイ)を攻撃し第二次世界大戦に参戦した当時、オーストラリアでは自国を防空できる「前線戦闘機」が不足していた。新鋭機の製造には時間がかかり、急遽、オーストラリアの航空機メーカーであるCACが練習機として製造したCAC ウィラウェイCA-16をベースに迅速に設計、製造できる航空機に着手した。容易に入手可能な部品 (CAC ウィラウェイ航空機からの多くを含む) と自国で入手可能な部品のみを使用して、設計からわずか 16 週間半で完成した航空機がCAC ブーメランCA-12 (「パニックファイト」の愛称) であった。完成したブーメランは、上昇力、機体の安定性からくる操縦性に長け、迎撃能力にも優れた航空機であった。型式はCA-12、CA-13、CA-14、CA-19の各型があり、1942年から45年までの3年間で250機が生産され、パプアニューギニア、ボルネオ島、ソロモン諸島全域での対地攻撃を主たる任務として活躍、しかし終戦後は、機体のほとんどが解体され、AAHCで保管されているブーメランは現存する飛行可能な機体として希少価値のある航空機の一つである。


<デ・ハビランド・カナダDHC-4 カリブー(Caribou)>

デ・ハビランド・カナダ社が開発した短距離離着陸(STOL)輸送機であり、1958年7月30日に初飛行に成功している。

貨物なら3.1トン、兵員なら32名という搭載量を持ちながら400m以内の距離で離着陸が可能であり、その性能は海外でも高く評価され、世界23カ国の空軍のみならず民間でも広く採用された。生産は1973年まで継続され、307機が生産されたが、卓越したSTOL性能からオーストラリア空軍では2000年に入ってからも一部で運用がされ,その後同じ短距離離着陸性能を備えたロッキードC-130と交代している。

<ジェネラル・ダイナミックス F-111 アードヴァーク(Aardvark)>

1964年に初飛行を成功させ、1967年7月より米空軍より運用が始まった世界初の実用可変翼・戦闘爆撃機。エンジンはプラット・アンド・ホイットニー製TF-30-P-100ターボ不安エンジン2基を搭載し、最大速度マッハ2.5、航続距離4.700km、低空侵攻能力と爆弾等の搭載量は極めて優れた機体であった。RAAFではイングリッシュ・エレクトリック・キャンベラの後継機として1968年にF-111C型を24機導入。また、戦略攻撃用装備を取り外した訓練用F-111G型を1994年から15機を運用している。F-111はアメリカ空軍では1996年に全機が退役したが、RAAFでは2001年以降も使用され、新鋭機種のF/A-18Fの配備が始まる2010年まで運用された。


<CAC セイバー CA26/CA-27>

米国ノースアメリカン社が製造した亜音速ジェット戦闘機の代表であり、1947年10月に初飛行に成功している第一世代ジェット戦闘機である。オーストリアの航空機製造の大手であったCACでライセンス生産されたF-86FセイバーはCA26/CA-27の型式で呼ばれ、CA-26は試作機1機のみが製造され、CA-27が量産型となり112機が生産された。エンジンはオーストラリアでライセンス生産されたロールス・ロイスエイヴォンR.A7エンジンを搭載したことにより胴体周りが太くなり、30mm機関砲が6門から2門に変更されている。


訪問を終えて

空軍の施設の中にある航空博物館であり、基地入場でのセキュリティチェックも厳重であり、多少の待ち時間があったりで通常の航空博物館の見学とは異なる違和感を感じると思う。しかし、展示ハンガーに足を踏み入れた瞬間、新造機のような美しさを誇る航空機が目の前に広がる光景は他では味わえない醍醐味である。説明を聞きながら4つの展示ハンガーを巡るのには3時間ほどの時間を要するが、元軍人であるからこそ教えていただけるRAAFの航空機購入審査基準や第二次世界大戦時の日本軍戦闘機の機種別攻略(実際は逃げる)方法など、当時の写真を引用しながら解説してくれることに興味津々、と同時に当時の連合軍パイロットが、日本の戦闘機と格闘戦をしたがらなかったかなどが理解できる。

航空博物館の訪問の楽しみは日頃聞けない「裏話」や、現地ボランティアとの交流も大切な一コマ。館内に設置されたRAAFオリジナル商品を扱ったプロショップも大戦機フアンとしては見逃せない。


訪問のための一般情報


RAAF Amberley Aviation Heritage Centre

住所:Southern Amberley Road Amberley QLD 4306

e-mail: RAAF.AAHC@defence.gov.au

一般開放日:1月から11月までの第三日曜日

Websight:https://www.raafamberleyheritage.gov.au/visit-the-centre/

申し込み方法:上記サイトから申し込み可能(英語のみ)

外国人の申込みには旅券番号や旅券失効日などの記載項目があるので事前に用意しておくこと。

(英語が苦手な方は、翻訳気を使いながらでも申請は可能である)

アクセス:ブリスベン市内からレンタカーを借りて50分ほどで到着できる。基地入場前にチェックポイントがあり、無料の駐車場があるのでそこに車を駐車し、軍が用意したバスで移動する。

入場料:無料


⬜️掲載誌:月刊航空情報2023年12月号(最終号)....1951年10月以来72年


General information for the visit


RAAF Amberley Aviation Heritage Center


Address: Southern Amberley Road Amberley QLD 4306

e-mail: RAAF.AAHC@defence.gov.au

Open to the public: Third Sunday from January to November


How to apply: You can apply from the above website (English only)

Applications for foreigners require information such as passport number and passport expiration date, so be sure to have them ready in advance.

(If you are not good at English, you can apply even if you are careful about translation.)

Access: You can rent a car from Brisbane city and arrive in about 50 minutes. There is a checkpoint before entering the base, and there is a free parking lot where you can park your car and travel by bus provided by the military.

Admission fee: Free


⬜️Magazine: Monthly Aireview December 2023 issue (final issue)....72 years since October 1951

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