MUSEU DO AR, Sintra Portugal

シントラはリスボンから電車で40分の世界文化遺産に指定された町である。

その昔、イギリスの有名な詩人バイロン卿は『この世のエデン』とシントラを表現し、日本からも多くの旅行客が訪れる人気の観光スポットでもある。 そんな観光名所にポルトガル空軍が所有している航空博物館MUSEU DO AR(Air Museum)がある。 元来、自国産の航空機がなく、中古機の使用が中心であった経緯もあり、他のヨーロッパでは中々見学できない他機種にわたる航空機の展示が訪問者の興味を掻き立てる航空博物館でもある。 また、ここに展示されている40機の展示機体はポルトガル空軍所管の航空機でもあり、手入れが行き届き、保管状態も良いと聞き、この度は足を運び訪問をした。


見学し易い航空博物館

ポルトガルの航空に関わる起源は1911年に設立された「気球中隊」が発祥であり、第一次世界大戦以降、欧州列強各国は、航空機の開発を重点戦略においたが、ポルトガル軍自体、第二次世界大戦中は陸軍の航空隊が少数の輸送・連絡航空機しか保有せず、フランス軍の飛行中隊にパイロットのみ参戦させていたのが実態であった。

他欧州諸国と比べると、航空機の近代化で1歩遅れていたポルトガルであり、航空博物館の設立も戦後23年が経過した1968年にシントラの空軍格納庫の一角で航空機を展示したことが始まりであり、1971年7月1日に初めて一般に公開がされた。 そして38年後の2009年にはシントラ空軍基地の用地を広げて新たなハンガーを建設し、近代的な保管環境の中で展示機体(コレクション)を増やし、今日に至っている。

展示機体(コレクション)はメインハンガー(Main Hanger),ヒストリックハンガー(Historic Hanger),アウトドアエキシビション(Outdoor Exhibition)の3つの大きなテーマに分類され、他の欧州内の航空博物館と同じように年代列順に展示されており、撮影しながらゆっくりと見学して3時間程度の時間が必要である。 それでは、順路に沿って館内を見学していくことにする。


ポルトガル創世記の航空機

メインハンガーは、ポルトガルの航空機における創生期から第二次世界大戦後までの航空機が展示されているハンガー(格納庫)である。

受付で入場料を支払い、奥に進むと最初に目に入ってくるのがJu-52の機体とブレリオ(Blériot XI/レプリカ)の機体である。 そのままハンガーの奥に目を転じると良く磨き上げられたC-47の機体も視界に入ってくる。

20世紀の初頭、ここ欧州では、航空のパイオニアと称されるブラジル出身の発明家であり航空家であったアルベルト・サントス・デュモン(Santos Dumont)によって制作されたサントス・デュモン14bisとサントス・デュモンXX(Demoiselle XX)を手本にしてきた。しかし、ポルトガルの古典的な航空機の代表としては、フランス製のBlériot (ブレリオ)XI, Caudron (コードロン)G.lllそしてFarman (ファルマン)MFである。 その後1930年代はアブロカデット(Avro 632 Cadet)やドラゴン・ラピッド(de Havilland DH82A)、タイガーモス(Tiger Moth.)など英国製の軽輸送機を運用してきた。 その後1940年代に入ると米国製のビーチクラフトモデル18の派生型航空機ビーチAT-11カンザン(Kansan)の導入が進められ、近代戦争に備えた爆撃訓練機として1969年まで現役として活躍した機体が展示されている。 さらに、第二次世界大戦後、ポルトガルの民間航空において活躍の場を広げてきたダグラス社のC-47/DC-3(Dakota)など、民間航空のコーナーも見学が可能である。


軍用機は米国主導で配備

 第二次世界大戦後、ポルトガル空軍は英国空軍から余剰となったスピットファイア(Spitfire)を運用してきた。しかし、ポルトガル空軍の上層部は近代戦を想定し、第1期近代化として米国製戦闘機の導入を急ピッチで進めた。 ヒストリックハンガー(Historic Hanger)やアウトドアエキシビション(Outdoor Exhibition)に展示されているロッキード(Lockheed)T-33A練習機や、ベルギー空軍からの払下げで導入したサンダージェットやノースアメリカン(North American )F-86Fセーバー、フィアット(FIAT)G91Rなどが運用され、その実機が展示されている。

 1970年以降の第2期近代化ではセスナ(Cessna)T-37戦闘攻撃機、LTV A-7 コルセア(Corsair)ll、NATO軍加盟もありダッソー・ミラージュ(Dassault Mirage)lllRを配備してきた。 そして第3期近代化では、米国製F-16A/B Block 15 OCUを20機導入し、1994年から運用を開始し、またドイツ空軍から購入したダッソーブレゲ・アルファジェット(Alfa Jet)を運用し現在に至っている。

 ポルトガルは海岸線が縦に長く、潜水艦探知や不審船などを取締まる沿岸警備にも空軍は重きを置き、哨戒機導入にも積極的に取組んできた。 初期の航空機は第二次世界大戦後にグランマンG44ウイジオンを運用し沿岸パトロール機として配備し、その後は潜水艦索敵に優れたロッキード(Lockheed)P-2Vを運用、現在はロッキードマーチン(Lockheed Martin)P-3Pへと引継がれている。


民間機にもスポットライト

メインハンガー(Main Hanger)にはTAPルームと呼ばれる民間航空の歴史を学べるコーナーがあり、TAPポルトガル航空の歴史やフライトシュミレーター、客室内の装飾の変遷やユニフォームなどの展示がされている。また、SE-220カラベル(Caravelle)用のフライトシュミレーターやボーイング(Boeing)707-382Bのフライトシュミレーターが展示され、事前予約をしていれば,実際にシュミレーター席に座ることも可能である。 そしてもう一つの目玉は古のポルトガル航空のカラーで展示されているダグラス(Douglas)C-47/DC-3であり、キャビンも修復され見学も可能である。 今回、全ての航空機を紹介することは出来ないが、ポルトガルの観光の合間にぜひシントラにある航空博物館に時間を作って立ち寄っていただきたいものである。  

 尚、アウトドアエキシビションでは、受付にて外で写真を撮りたい旨を告げないと、通常はアクセスドアの鍵がかかっており、勝手には外の展示エリアには出ることはできない。 これは、博物館自体が空軍の敷地内に混在していることにより管理上、時間や見学者人数を見極めながら、案内をしているようだ。写真撮影は館内と同じように自由に撮影は可能であるが、夏場は非常に気温が高く暑くなるので、開館(10:00)後、直ぐに野外展示の撮影をお薦めしたい。



訪問のための一般情報

MUSEU DO AR (AIR MUSEUM)


住所 2715-021 Pêro Pinheiro, Portugal

電話 +351 21 967 8984

Web sight museudoar.pt

開館時間 10:00-17:00  **月曜は休館日

入場料 大人 3ユーロ、子供 1ユーロ (2020年2月現在)

交通 リスボン(Oriente)駅から終点のシントラ駅まで約50分。シントラ駅前からタクシーに乗車し約10分で到着する。(片道約11ユ

ーロ)

**帰りのシントラ駅までのタクシーは、博物館の受付で依頼すると呼んでくれる。

       **注意事項:電車は終点のシントラ駅まで乗車すること。手前駅(Portela de Sintra)にはタクシースタンドはない。


◽️掲載誌:月刊航空情報2020年6月号 / せきれい社


General information for visits

MUSEU DO AR (AIR MUSEUM)


Address 2715-021 Pêro Pinheiro, Portugal

Phone +351 21 967 8984

Web sight museudoar.pt


Opening hours 10: 00-17: 00 ** Closed on Mondays

Admission fee 3 euros for adults, 1 euro for children (as of February 2020)

Transportation Approximately 50 minutes from Lisbon (Oriente) station to Sintra station, the final stop. Take a taxi from Sintra station and arrive in about 10 minutes. (Approximately 11 euro one way)

** A taxi to Sintra station on the way back will be called at the museum reception.

** Note: Take the train to Sintra Station, the final stop. There is no taxi stand at the front station (Portela de Sintra).


◽️ Published Magazine: Monthly Aireview June 2020 / Sequireysha Ltd.

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