Museo Storico dell’ Aeronautica Militare, Vigna di Valle Roma Italy

紅の豚」というアニメ映画をご存じだろうか。1992年にスタジオジブリが制作した第一世界大戦後、イタリア経済が不安定でファシストが台頭し始めた1930年代を背景に、賞金稼ぎの水上機パイロットの生きざまを描いたフィクションの物語である。訪問した空軍歴史博物館では、映画に登場する真紅の水上機「マッキ(Macchi)」のオリジナルが見学できるということもあり、宮崎駿の漫画フアンをはじめ日本人の訪問率は他の欧州にある航空博物館より高いという評判も頷ける。

この空軍歴史博物館は、イタリア王国の航空の父と呼ばれたマリオ・マウリッツオモリス少佐によって1904年に航空実験造船所が建設されたのが基礎となっている。4年後の1908年にはイタリアで初の軍用飛行船がこの地で造船され、それ以降1945年までブラッチャーノ湖畔に面した地の利も生かし、水上機の開発と海軍の航空実験センターとなった場所である。

年月を経て1977年5月24日に創設されたこの博物館は、現在イタリア空軍の所管にあり、イタリアにおける航空の発達に寄与した80機にのぼる航空機の展示、関連する備品や写真の展示などイタリアの航空史に関わる重要な収蔵品を保管している。


イタリアの独創性と技術力に興味深々

本館内はイタリアで生産された航空機を中心に、外国製航空機であってもイタリアの航空史に寄与した機体が4つの格納庫に年代毎に分類され展示されている。 本誌では全ての航空機を紹介することは叶わないが、各格納庫毎に、他の航空博物館では見ることができない機体にスポットライトを当て解説する。掲載の写真の中からその魅力的な航空機の数々を読者の方々に知っていただき、次回の訪問のきっかけになれば筆者としてもうれしい限りである。

それでは、各展示格納庫を覗いてみたい。



1. トロスター(Troster)格納庫:

航空機の創成期から第一次世界大戦終了までの航空機が展示されている。

SITブレリオ(Blériot)/スパッド(SPAD) S-Vll Ruffo、スパッド(SPAD) S-Vll Cabruna /マッキ ・ハンリオット(Macchi Hanriot) HD-1 /ローナー(Lohner) L-127 / アンサルド(Ansaldo) SVA5、アンサルド(Ansaldo) AC2 /カプローニ(Caproni) CA-36

古典機フアンであれば、何時間見学しても飽きることがない、まさにイタリアの技術力を誇る機体が並んでいる。欧州ではスパッド(SPAD)をはじめとするフランス機が主流の時代、1917年にイタリア独自で開発した航空機、アンサルド(Ansaldo) SVA5が展示されている。このSVA5は東京にも飛来し、長距離飛行による航空機としての耐久性と信頼性を世界に証明した機体であった。これにより航空機の開発ではフランス、英国に遅れていたイタリアが世界から注目されるきっかけとなった機体であった。


2. ベロ(Velo)格納庫:

競技用水上機と第一次世界大戦中の戦闘機が展示されている。

マッキ(Macchi) M-39,M-67,MC-72 /フィアット(Fiat) C-29, CR-32, CR-42, CA-100 /

イマーム(IMAM)Ro-37,Ro-43 / カプローニ(Caproni) CA-10

ここは「紅の豚」展示館と言っても過言ではない真紅の競技用水上機が展示されている。その中でもマッキ MC-72 はイタリアの航空機メーカーアエロナウティカ・マッキ社が1931年に設計・製作した機体であり、当時の技術としては世界でも稀な二重反転プロペラを採用した水上機であった。エンジンはフィアット(Fiat)のAS 6エンジンを搭載し、当初から「シュナイダートロフィー」の速度記録へ挑戦するレース専用機として5機が製造されたが、エンジントラブルにも見舞われ、優勝トロフィーは英国の手中におさめられた。


3. バドーニ(Badoni)格納庫:

大型輸送機と第二次世界大戦後の航空機が展示されている。

CRDA CANT Z-506 / フィアット(Fiat)G-212,G-46,G-55,G-59 4B /マッキ(Macchi) MC-200,MC-202,MC-205/ BE SM-79 / Douglas C-47 / ナルディ(Nardi) FN-305 / Spitfire Mk. IXE / SIAI AM-82 / North American P-51 / フィーゼラー(Fieseler) FI.156 Storch

数奇な運命をたどったSM-79 スパルヴィエーロ(Savoia-Marchetti SM.79 Sparviero )は、当時、イタリア王国サヴォイア・マルケッティ社が開発し、第二次世界大戦中にイタリア空軍で運用された爆撃機であった。原型機はロンドン-メルボルン間のエアレース(マック・ロバートソンレース)の出場を目的として開発され、1934年9月28日に初飛行した。アルファ・ロメオ製のエンジン(750馬力)を搭載したこの機体は、当時としては時速430km~460kmと高速巡行が可能な航空機であり、1000kmと2000kmの距離競技でも6つの世界速度記録を樹立した卓越した航空機であった。


4. スケマ(Skema)格納庫:

冷戦以降のジェット戦闘機が展示されている。

マッキ(Macchi)M-416,MB-308, MB-326MB-323,MB-339A / フィアット(Fiat)G.80-3B,G-91R,G-91T,G-91Y /Lockheed F-104G,RT-33 / Republic F-84F,RF-84F / Canadair CL-13(F-86F) /グラマンS2F-1 / デ  ハビランドDH-113 / パナビアトーネドADV / SAI アンブロシーニスーパーS7

フィアット G.80は, 1951年12月9日に初飛行したイタリアで開発された初めての軍用ジェット練習機であった。当初、試作機と量産型のG.80が計5機生産され、その後、NATO軍からの採用を見込んだフィアット社は、エンジンにロールス・ロイスニーンエンジンを搭載した派生型のG.82を試作機として5機制作した。しかし採用は見合わされ、開発が中断されたことにより世界で10機生産という希少価値の高い航空機が展示されている。

そして最後となる野外展示では、ブラッチャーノ湖畔にせり出すように設置された水上機係留用の桟橋にレスキュー機グラマンHU-16アルバトロス飛行艇とシコルスキーSH—3Dをはじめ数機が展示されているが、手入れが行き届いていなく保存状態は決して良いとは言えないのが残念である。独特な設計理念の中で高性能な航空機を製造してきたイタリアの航空産業。自国以外での運用も少なく、他国の欧州航空博物館では見学できない魅力的な航空機が展示されており、できれば2-3日じっくりと見学するのも一考である。

**イタリア王国:1861年に成立、第二次世界大戦後の1946年に共和制となり、「王国」という呼び名が付かなくなった。


訪問のための一般情報:

Museo storico dell’ Aeronautica Militare


所在地 :Via Circumlacuale, 00062 Vigna di Valle Rome, Italy

連絡先 :+39 06 9988 7509

開館時間 : 火曜日―日曜日 09:00-16:00

         定休日:月曜、12月25日、イースター

入場料 :無料

Web sight : http://www.aeronautica.difesa.it/storia/museostorico/Pagine/default.aspx

交通 :ローマ(テルミニ駅から1回乗り換えで約1時間半)Vigna di Valle駅下車、徒歩40分、もしくはBracciano駅から循環バス

(1€)で約10分。

        注意)バス利用の場合(時間どうりに来ないこと多々あり)

           往路:Bracciano駅のダンテ広場から乗車 (**タクシーも可)

           復路:入館前に入口の警備員に最終のバス(16:30/2020年1月現在)の時間を確認して入場の事。

 (**筆者は訪問日の天気が良かったので、往路はVigna di Valle駅から徒歩、復路はバスにてBracciano駅からローマへ戻った)


◽️掲載誌:月刊航空情報 2020年8月号 / せきれい社


General information for visits:

Museo storico dell ’Aeronautica Militare


Location: Via Circumlacuale, 00062 Vigna di Valle Rome, Italy

Contact: +39 06 9988 7509

Opening Hours: Tuesday-Sunday 09: 00-16: 00

Regular holidays: Monday, December 25, Easter

Admission: Free

Web sight: http://www.aeronautica.difesa.it/storia/museostorico/Pagine/default.aspx


Transportation: Rome (about 1.5 hours with one transfer from Termini station) Get off at Vigna di Valle station, 40 minutes walk, or circular bus from Bracciano station

(1 €) takes about 10 minutes.

Note) When using the bus (often does not come on time)

Outbound: Take a taxi from Dante Square at Bracciano Station (** taxi is also possible)

Return trip: Check the time of the last bus (16: 30/as of January 2020) with the security guard at the entrance before entering the building.


◽️Published Magazine: Monthly Aireview August 2020 / Sequireysha Ltd.

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