top of page

Maui Island Fire Disaster, Hawaii

- 楽園が焼失 - マウイ島における火災発生 日本人観光客の動向を探る


8月8日未明に発生したマウイ島の山火事を受け、マウイ島に限らずハワイ全島が一時的にも観光ダメージを被ることとなった。16日にはジョシュ・グリーンハワイ州知事は、マウイ島西部以外のハワイ諸島への旅行の安全宣言を行ない、21日にはジョー・バイデン米大統領はマウイ島西部の被災地を訪問。マウイ島の他の地域(離島)への渡航の重要性を説き、それがマウイ島の復興と経済的支援になることを強調した。

火災発生から1カ月が経過したハワイに飛び、現在の観光客の動向と航空会社の支援についてお伝えする。


自然災害の脅威

100名を超える死傷者を出し、800名以上が行方不となり、未だに被害の全貌が明確にならないカフルイを中心とするマウイ島西部地域。日本の旅行会社のパンフレット棚からはマウイ島のパンフレットが降ろされ、放送各社で放映されている旅番組でもマウイ島の特集は全て中止された。

今年の夏休みは、新型コロナが5類となり、待ちに待った制限なしの旅行への大きな期待があり、大手旅行会社の7月15日~8月31の動向によれば、国内旅行はコロナ禍前と同水準まで回復、海外旅行は対前年214.3%とのこと。航空需要の戻りに合わせ、各航空会社からは続々と運休路線の再開や、定期便の増便・臨時便などが発表され、ハワイ行きもその筆頭格となっていた。

マウイ島の山火事を受け、8月10日にはハワイ州観光局はマウイ島西部への観光目的での渡航を取りやめるよう声明を発表し、また同様に火災が発生しているハワイ島のマウナケアリゾート地域を訪問する予定の旅行者に対し、「旅行計画を変更することを検討する」よう呼び掛けその対応に追われた。


米系航空会社の対応

地元ハワイアン航空はマウイ島のカフルイ空港発着の航空便の運航を継続し、8月14日(月曜)までマウイ島からの緊急避難を援助にするため、19 ドルで利用できる特別処置を施し、山火事対応を支援するホノルルの消防士向けに座席を提供してきた。また、一般顧客については8月9日から 31 日までのマウイ発着の旅行計画があり、フライトの変更やペナルティなしで旅行計画を変更したり、フライトをキャンセルしたりする「旅行免除」が受けられる柔軟な対応をして来ている。一方、アメリカン航空は米本土との直行便の機材の大型化や増便を実施し、飲料水、毛布、アメニティキット、保存食、粉ミルクを輸送している。アラスカ航空もシアトルから救援物資を輸送し、復路便では避難者を輸送したほか、定期便では運航していない島間線(カフルイ/ホノルル線)で物資や人員輸送を担い、現在も継続している。また、カフルイ/バンクーバー線を運航するエア・カナダは、定期便で運用しているボーイング737-8-MAXから、救援物資輸送のためボーイング787-8型機へ機材を大型化して対応したほか、ユナイテッド航空・デルタ航空も赤十字社を通じた支援を現在も継続している。

また、航空機製造メーカーであるボーイングは8月14日、山火事の復興支援で50万ドル(約7200万円)を寄付すると発表した


日本からの観光対応と課題

日本の航空会社にとってハワイ諸島は継続的に魅力的なマーケットであり、日本航空、全日空を始め、近年では日本航空系のZIPAIR(ジップエア)がハワイ路線で攻勢をかけており、新型機ボーイング787-8型機の7号機(JA851J)が8月10日に成田空港へ到着。ホノルル線へ新鋭機が14日から投入されている。一方、全日空も9月1日からA380機材が週3便での運行となり、日本からの観光客は今後も増えることが予想される。

デルタ航空も本年10月29日に、羽田空港からホノルル行きのデイリー運航便として新規就航を発表(ホノルル発便は10月28日就航。)した。同便は、2020年3月に就航予定を、新型コロナウイルスの影響を受け就航が延期されてきた運行便ということもあり、羽田発着の利便性も活かして日本からの送客を増やし、ハワイ地域への復興貢献に一役かう姿勢を見せている。

しかし、一方では日本からの観光客の増加が現地でどのように受け止められるかも注目される。日本を含むハワイ外部からの観光客が、今回のマウイ島の山火事について十分な配慮もなく観光を楽しんでいることについては、現地ハワイでも意見がわかれそうだ。筆者が滞在中の時にもオアフ島には多くの避難者がいることを考えれば、我々観光客にも一定の配慮は必要であり、単にお金を「落とす(消費)」するだけではなく、彼らの気持ちに寄り添う姿勢が求められるのではないか。今後はハワイ州観光局が中心となり、旅行会社や航空会社と共同してそうした啓発活動を行う必要が出てくると感じた。


⬜️掲載雑誌:月刊エアライン11月号/イカロス出版




Follow Us
  • Facebook Classic
  • Twitter Classic
  • Google Classic
Selling My Pictures
bottom of page