Luftwaffen Museum, der Bundeswehr Berlin-Gatow Germany

ドイツ空軍博物館(Luftwaffen Museum)の歴史は古く、1963年にハンブルグ(Hamburg)市郊外Uetersen/Apenで開館し、当時としては100機を超える航空機が展示されていた欧州内でも1、2番を競う大型の航空博物館であった。31年後の1994年に現在のベルリン(Berlin)市郊外に移転し、オープンしたのが1995年9月23日である。

ここドイツ空軍博物館(Luftwaffen Museum)はドイツ連邦軍のドレスデン軍事歴史博物館の管理傘下にあり、旧英国空軍基地(Gatow)の跡地を利用し、年間60,000人以上の入場者が訪れる航空博物館である。

基地跡地の広大な敷地に立地した博物館であるが、現在(2016年4月現在)一般見学者に解放されているのは第一次大戦、第二次大戦の機体を中心に展示しているハンガー(Hanger)3と戦後、冷戦時代の機体を中心に展示したハンガー(Hanger)7の二つの屋内展示に限定されている。 その他管制塔の見学も可能であり、基地全体を見渡せる眺望は素晴らしい。 180機を超える航空機の展示は冷戦時代の機体が中心であり、自由主義陣営と共産主義陣営の最前線であった東西ドイツ二ヶ国分の展示が一つの博物館に集中して展示されているという点では他の航空博物館にない特徴であり「ドイツ空軍の翼」の歴史を探訪するために足を運び訪問した。


歴史に翻弄された時代

ドイツ国防軍空軍(Luftwaffe)から冷戦まで

第一次世界大戦で敗戦したドイツ帝国陸軍航空隊は、1920年のヴェルサイユ条約軍備条項に沿って解体された。その後、ナチス・ドイツがドイツ再軍備を宣言し誕生した空軍がドイツ国防軍空軍(Luftwaffe)である。当時ドイツは第一世界大戦の敗戦という苦い経験から、制空権を掴むために空軍の再軍備には時間を費やした。Gatow空軍基地の誕生は1934年であり、元来この空軍基地は防空戦闘基地ではなく、1935年11月からドイツ国防軍空軍の戦術パイロットと航空技術訓練養成所の機関としてスタートし、特に航空技術者用の研究施設の建築に時間を要したと言われている。時とともに戦火もドイツ全土に広がり、1939年9月1日、ヒットラーに任命された第三帝国のパイロットと技術者が首都ベルリン防空のために戦闘任務に就き、1945年の終戦まで多くのパイロットと技術者を輩出した基地である。第二次世界大戦終了後の混乱の中、1945年4月26日、ベルリン制圧中に一時的に赤軍に占拠されたが、2ヶ月後の7月2日にはこの基地を譲り受ける方で英国空軍が統治することになった。

その後、領土拡大を画策するソビエト連邦政府により、1948年6月に始まる東ドイツから西ドイツの道路、鉄道を封鎖した「ベルリン封鎖」に伴いアメリカ軍はTempelhof (テンペルホーフ)飛行場を利用して物資の調達を西ドイツ(当時)の国民に対して行い、Gatow(ガトー)基地にはイギリス軍、オーストラリア軍、ニュージランド軍、南アフリカ軍などの連合軍が中心となって物資の輸送を行った。

その後の「冷戦時代」には東西ドイツが一触即発の危険性をはらんだ緊張関係が続き、「緊急発進(スクランブル)」をより早く離陸するためのロケットブースターなどの開発も進んだ時代でもあった。


ハンガー(Hanger) 3

1884年から始まるドイツ空軍史

1935年にベルリンの西郊外に航空技術を研究するGatow飛行場が建設され、当時は10を超えるハンガーがあったという。

訪問したハンガー3では1884年から1914年までのドイツ帝国時代、1914年から1918年までの第一次大戦時代、そして第二次世界大戦、戦後のドイツ連邦の軍事航空機の歴史が一連で見学できる展示施設となっている。

読者の皆様に紹介したい航空機としては航空機史上唯一の実用ロケット推進戦闘機Messerschmitt Me 163B(Komet/コメット)のオリジナルが展示されている事である。 第二次大戦中に登場したロケット推進を最大の武器として大型爆撃機(B-17,B-25)を迎撃するための戦闘機として大きな期待を担ったが、航続距離が短い事や燃料漏れによる引火爆発事故も多く実践稼働率は極端に低かった。

しかし、ドイツが開発した「無尾翼機」はその後も開発が継続され第二次大戦後の「デルタ翼機」の開発進化に大きな影響を与えたことになる。

もう一つ注目しておきたい展示は、Daimler-Benz Flugmotor DB605Aエンジンである。 世界的に有名なMesserschmitt Bf-109に搭載されていた液冷V12気筒エンジンである。 1941年に開発され終戦の1945まで生産されたエンジンでありほぼ完全な状態で修復保存されている。このエンジンは日本でもライセンス生産され当時陸軍の飛燕(三式戦闘機)のエンジンに搭載された。 日本の航空機は当時空冷星形エンジンを基本に開発されており、開発を担当した川崎航空機の技術を持ってもDB605Aエンジンの量産には苦慮し、業を煮やした日本陸軍上層部は飛燕の空冷化を命令し、出来上がった機体が五式戦闘機であったというエピソードは有名である。

 尚、ハンガー3には興味深いプロショップと飲み物が購入できるコーナーがある。旧ソビエト連邦時代の航空隊の帽子(レプリカ)やパッチ類、そしてジッポーのライターなど販売しており、興味にある方はぜひ立ち寄っていただきたい。


ハンガー(Hanger )7

冷戦から始まる新たな歴史

1950年代の冷戦時代から始まる東西ドイツの主役は国家人民軍航空群(東ドイツ)ではMiG15,MiG21へと近代化を進め、ドイツ連邦軍空軍(西ドイツ)ではF-86FからF-104へと音速のバトンが渡された。

1960年代後半から1980年代にかけて様々の航空兵器が開発、導入され、現在まで存続する軍事装備体系を形成したと言われている。 ドイツ連邦軍空軍(西ドイツ)では1974年からマクドネル・ダグラス F-4F戦闘機が配備を開始し、1981年にはパナビア トーネードIDS攻撃機が配備される。これら2種類の戦闘機はF-104戦闘機の更新として導入されたものであった。 また、1978年にはダッソー / ドルニエ アルファジェット軽攻撃機が導入され、1985年から「戦闘機90(Jäger 90)」計画が開始され、10年後にはユーロファイター タイフーンとして結実した。

 尚、ハンガー内には、F-4ファントムの部隊一覧やコックピットの見学が可能な機種部分の展示があり、自由に見学できる。また、ハンガー3とは異なり自然光が入るレイアウトで全体が建築され、撮影し易い環境も整っている。


屋外展示

広大な敷地を散策

数え切れないほどの航空機が並んでいるが、残念なことに保存状態は決して良いとは言えない。

ここも冷戦時の戦闘機が中心に展示されており、「アメリカ対ソビエト」の構図が色濃く出ている展示内容であるが、その中でドイツ人によるドイツ国産で設計・生産されたハンザジェット(HFB320 Hansa Jet)の見学が可能である。ハンザジェットはハンブルガー・フルクツオイクバウで生産されたビジネスジェットであり、1964年4月に初飛行をした世界で初めての「前進機」である。1973年の生産終了までに47機が生産されたが、この機種では合計9件(内6件は致命的損傷)の事故が記録され、20パーセントという驚くべき機体損失率という不名誉なレッテルを貼られた航空機でもある。

もう一つ紹介したい機体としては、ベルリン封鎖時に英国連邦の同盟国として参加したオーストラリア空軍のC−47B(Dakota)が展示されていることは歴史的に興味深いものがある。

ここに展示されているC-47B(Dakota)A65-69はオーストラリア政府が、1948年から1949年に輸送で活躍したオーストラリア空軍の功績を記念し、1980年6月3日にGatow基地に寄贈した機体である。

第二次世界大戦後に始まる戦勝国のエゴから生まれたドイツの東西分裂。大国同士の長い冷戦時代を通じ、軍需産業の拡大、新兵器の開発などが進んだ時代でもあった。

ドイツ空軍博物館(Luftwaffen Museum)の見学では、多くのことを感じ、学ぶことができた訪問でもあった。観光でベルリンを訪れるチャンスがあれば、読者の皆様にも是非、訪問して欲しい航空博物館である。


訪問のための一般情報


ドイツ空軍博物館

Luftwaffen Museum

der Bundeswehr Berlin-Gatow


住所 :Kladower Damm 182-188 14089, Berlin

電話 :+49-30-3687-2601

Fax :+49-30-3687-2610

E-mail :LwMuseumBwEingang@Bundeswehr.org

Web sight :www.Luftwaffenmuseum.com

開館時間 : 4月-10月/火曜から日曜  10:00-18:00 11月- 3月/火曜から日曜  09:00-16:00 月曜は休館

入場料 :無料

交通&アクセス

お徳なウエルカムカードを利用

ベルリンの交通は料金体系が中心部からの距離でゾーン分けされており、GatowはゾーンBに含まれポツダムよりも近くなる。旅行者はベルリンウエルカムカードを購入しておけば、2日とか5日券とかでバス、地下鉄、DB以外の電車(Sバーン、市内電車のトラム)も全てに乗車可能で、ベルリン市内の博物館も2割から3割引となりお薦めできる。


鉄道とバスを乗り継いで

GatowへはSバーンでSpandauまで行き、乗り換えでX135 Alt-Kladow往きのバスに乗車、15分くらいでKurpromnenadeという新興住宅地のバス停で降り、徒歩(700m位)にて「Luftwaffenmuseum」こちらという小さい看板が出てきます。入り口は小さなプレハブがあるだけですが受付カウンターで地図と廻り方の案内書をくれます。


◽️掲載誌:月刊航空情報 2016年12月号 / せきれい社


Luftwaffen Museum

der Bundeswehr Berlin-Gatow


Address: Kladower Damm 182-188 14089, Berlin

Phone: + 49-30-3687-2601

Fax: + 49-30-3687-2610

E-mail: LwMuseumBwEingang@Bundeswehr.org

Web sight: LwMuseumBwEingang@Bundeswehr.org

Opening Hours: April-October / Tuesday to Sunday 10: 00-18: 00 November-March / Tuesday to Sunday 09: 00-16: 00

Closed on Mondays

Admission: Free


Traffic access

Use a virtuous welcome card

Berlin's transportation is zoned by distance from the center, with Gatow included in Zone B and closer than Potsdam. If a traveler purchases a Berlin welcome card, he / she can board all trains (S-Bahn, city train tram) other than buses, subways, and DBs with 2-day or 5-day tickets. The museum is also recommended with a 20% to 30% discount.

Transfer trains and buses

To get to Gatow, take the S-Bahn to Spandau, change to the X135 Alt-Kladow bus, get off at the bus stop in a new residential area called Kurpromnenade in about 15 minutes, and walk (about 700m) to the small sign "Luftwaffen museum". Will come out. There is only a small prefab at the entrance, but the reception counter will give you a map and directions on how to get around.


◽️Published Magazine: Monthly Aieeview December 2016 / Sequireysha Ltd.

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