Luftfahrt Museum,Laatzen Hannover e.V., Germany

ドイツ北部の交通の要衝としても知られるハノーバー。ニーダーザクセン州の州都であり、さまざまな見本市が開かれることで知られている。この見本市会場に隣接するハノーバー・ラーツェン航空博物館は、航空愛好家であり、起業家のグンター・レオンハート(Günter Leonhardt)の個人コレクションを展示するため1992年に開設され、複葉機からジェット戦闘機、歴代のドイツ製エンジンなど展示内容は航空全般にわたり文献、写真も含め幅広い収蔵品を見学することができる。


魅力的な収蔵品

この博物館では大きく2つの展示ホールにわかれ、39機の航空機(オリジナル機体とレプリカ機体)、39基の航空機エンジン、そして800機に及ぶ航空機モデル等が展示されている。

ホール1では、「動力飛行」が可能であることを証明したライト兄弟の着想の源となった、リリエンタール兄弟によって作られたグライダー(レプリカ)が展示されている。同兄弟は1891年に模型グライダーによる滑空実験を行い、ドイツにおける初期航空工学発展に貢献し、人類が地上から飛び立つために必要な基盤を築いたパイオニアであった。また、第一次大戦で活躍したレッドバロンの三枚翼の戦闘機フォッカーDr.l(レプリカ)やリンドバーグが1927年に大西洋横断した”Sprit of St. Luis”で有名なライアンM2(レプリカ)飛行機、そして1930年代のスポーツおよびツーリング飛行機で有名なクレム(Klemm light Aircraft Company)軽飛行機など第二次世界大戦前に製造された航空機を見学することができる。

ホール2では、第二次世界大戦中に製造された軍用機を中心にメッサーシュミットBf109G-2やフォッケウルフFw190A-8、英国のスピットファイアMk.XlV、世界最大の単発複葉機アントノフAN-2、また、戦後ドイツの国防を担ったロッキードF-104ジェット戦闘機、そして大戦中から現代に至るまでのエンジン各種が展示され見学することができる。この博物館では、入館口以外で野外展示されている航空機はなく、航空博物館としてさほど大きくはないので見学にかかる時間は2−3時間で十分楽しめる。


コレクションへの情熱

当館の設立に寄与した起業家のグンター・レオンハートは、 10代の頃より「大空を飛ぶ」ことへの情熱は人一倍であった。1939年9月に英独戦争が始まると22歳の時にドイツ空軍に志願したが、空軍野戦師団の配属となり憧れていた航空機に携わることはなかった。1944年12月から始まった「バルジの戦い(アルデンヌ攻勢)」時に負傷をし、連合軍の捕虜となり終戦を迎えることとなる。 第二次世界大戦後は、レオンハートは実業家のカール・ネルケと一緒に海運会社を設立し、戦後の復興経済促進の後押しもありロジスティック事業は成功を収めた。同時に地元経済の発展と地域促進にも貢献したことを高く評価され、ニーダーザクセン州連邦協会の副会長など数々の名誉職を歴任することになる。 名誉と大きな財を築いた彼は、1986年には第二次世界大戦中(1940年)にノルウェーの湖に沈んだユンカースJu52の引き揚げや、墜落したメッセーシュミットを海底から引き上げ、修復するプロジェクトを立ち上げた。長年にわたり収集したエンジンや航空機部品に留まらず文献や写真などのコレクションの一部は、1992年に同館に移し、歴史的な航空機、エンジン、コンポーネントの膨大なコレクションを展示するに至ったのである。ここでは特に彼が尽力し収集した航空機について紹介をしたい。


メッサーシュミットBf109

メッサーシュミットBf109は、1934年から設計が始まり、初飛行は1935年5月28日に実施された。密閉されたパイロットのキャビン、格納式の着陸装置、および全金属製の胴体と翼の構造など、第二次世界大戦時の単座戦闘機で主流となる形態を世界に先駆けて備えていた航空機であった。フォッケウルフFw190とともに、第二次世界大戦が終わるまでドイツ空軍の代表的な戦闘機であり、大戦中は、フィンランド、クロアチア、ルーマニア、ハンガリー、イタリア、スイスなどでも運用され、終戦までに33,000機以上が製造されており、世界で最も製造された戦闘機であった。

同博物館に展示されているメッサーシュミットBf109G-2/14-753は、1988年に地中海から引き揚げられた機体であり、3年の歳月をかけドイツ空軍のエースパイロットであったグスタフ・レーデル(Gustav Rödel)の所属する第27戦闘航空団(JG27)の塗装を忠実に復元した機体である。


フォッケウルフFw190

フォッケウルフFw190は1939年に初飛行し、第二次世界大戦中に就役したドイツの戦闘機であり、メッサーシュミットBf109と並びドイツの航空戦力の主力を担った航空機であった。また、格闘戦以外でも対地攻撃の性能も高く、2万機以上が終戦までに製造され、ドイツ空軍以外ではハンガリー空軍やトルコ空軍などでも運用された。

同博物館に展示されているフォッケウルフFw190A-8N、通称「イエロー11」は、

1944年にシュテルメーデ(Störmede)を拠点とした6./JG I航空団所属で、ヤークトゲシュヴァーダー1の赤の帯を纏ったフェルドウェベル・アルフレッド・ビントザイル(Feldwebel Alfred Bindseil)乗機の塗装が施されている。大戦末期、彼は5機のB-17、1機のP-51を撃墜したエースであったが、1944年6月20日、フランスのサン・ローでスピットファイア戦闘機との交戦の末、機体は被弾、墜落と記録されている。

1997年以降ドイツではFw190の再生産機の製造がされ、本展示機体は最初に復元されたFw190であり、記念すべき機体として2000年から同博物館で展示されている。


ユンカースJu52

グンター・レオンハートが率いるJu52引き上げ調査隊は、1986年にノルウエーのハルトヴィクヴァン湖に水没したJu52輸送機のうち4機を回収し、1989年には4機の部品を利用して復元されたJu52がヴンストルフ航空基地に隣接したJu52博物館で展示されている。読者の方々もご存知の通り、Ju52の機体構造は鋼管骨格にジュラルミンの波型外板(コルゲート)を貼った独特な形状をしており、離着陸距離が短いため、小さな飛行場での運用性もよく、第二次世界大戦終戦までに軍民合わせて4800機が生産された輸送機であった。同館で展示されているJu-52は回収された4機の中から、胴体中央部のみが展示されており、内部を見学することができる。

 第一次・第二次世界大戦後、ドイツは敗戦国となりすべての飛行活動を禁止されたが、グライダーによる滑空のみが許可され、数年後、技術力に勝るドイツはこの分野の世界的リーダーとなり、その技術は今なお継承され、ドイツ製のパフォーマンスグライダーが世界で利用されている。そしてこの博物館でも創設者のグンター・レオンハートが空への憧れを後世に残す航空遺産として戦前・戦後のグライダーの展示には特別なスペースを設け、ここに訪問する方々にも「大空を飛ぶことの喜び」を一緒に共感していただければ幸いである。


訪問のために一般情報:


Luftfahrt Museum,Laatzen Hannover e.V.


住所:Ulmer Stresse 2、30880 Laatzen Hannover, Germany

電話:+49 511 8791791

ウエッブサイト:http://luftfahrtmuseum-hannover.de

開館日: 木曜日、金曜日、土曜日、日曜日の午前10時から午後5時まで(入場は午後4時まで)、それ以外の曜日は事前予約制。

入場料:大人:€9子供:€5


◻️掲載誌:月刊航空情報 8月号/2022 せきれい社


General information for your visit:.


Luftfahrt Museum,Laatzen Hannover e.V.


Address: Ulmer Stresse 2, 30880 Laatzen Hannover, Germany

Phone: +49 511 8791791

Website: http://luftfahrtmuseum-hannover.de

Opening days: Thursday, Friday, Saturday, Sunday from 10:00 am to 5:00 pm (admission until 4:00 pm), other days of the week by prior appointment.

Admission: Adults: €9 Children: €5


◻️Published in: Monthly Aireview August / 2022 by Sequirey. S.A.


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