Langkawi International Maritime and Aerospace Exhibition 2025, Malaysia
- Junji Sato
- 6月24日
- 読了時間: 5分
17回目の開催を迎えたLIMA 2025 (Langkawi International Maritime and Aerospace Exhibition )は、5月20日(火)から5月24日(土)の5日間にわたりマレーシアのランカウイ島で開催された。
航空・宇宙に関わる展示・商談会場となったマスリ国際展示センターや31隻の艦船と海上警備・救難デモなどを開催したリゾート・ワールド・ランカウイでの会場には、世界24カ国から860の出展者に伴い、航空・海洋関係者、航空宇宙産業、軍事代表団が一堂に会した。隔年で開催されるLIMAは開催規模や数客動員数など、シンガポール航空ショーとならぶアジア最大級の国際イベントである。
重力を無視した飛行演技に釘付け
今年のLIMAのアクロバット飛行では、ロシア空軍所属の「ロシアン・ナイツ(Russian Knights)」とインドネシア空軍の「ジュピター(Jupiter)」チームが展示飛行に参加。前会(2023年)開催で注目を集めた韓国のBlack Eagles、中国の八一飛行表演隊やアラブ首長国連邦の「アル・フルサン(Al Fursan)」の参加は今年はなかった。当初、インド空軍のアクロバットチーム「スリア・キラン(Surya Kiran)」は参加を予定していたが、国内事情で急遽参加を取りやめてしまったのが残念であった。しかし、展示やデモフライトで集結した43機に及ぶ航空機には軍用機以外にもオーストリー、チェコ、米国、イタリアから商用機も展示され、連日大勢の見学者で航空機展示エプロンは大混雑であった。
展示飛行で特に注目されたのが地元マレーシア空軍のスホーイSu-30MKMとF/A-18Dホーネットのソロ演技であった。マレーシア国旗をモチーフに特別な塗装が施されたSu-30MKMが爆音を轟かせ、力強いソロ飛行と重力を無視した機動飛行を披露すれば、ホーネット運用25周年記念塗装のF/A-18Dによる大胆な機動飛行を披露した。
もう一つ、このLIMAでの楽しみは、2023年にデビューしたマレーシア空軍の教官パイロットによるGB-1ゲームバード(Game Bird)の飛行と2011年からEXTRA 300Lを操るマレーシアのアクロバットチーム「クリサクテイ(Krisakti)」による単発機でのアクロバット飛行である。両機とも無制限の曲技飛行が可能であり、約15分に渡りその卓越された飛行技術を披露した。
近年LIMAの航空ショーには欠かせない存在となったロシアン・ナイツは、6機のSu-35sフランカーEを操る「世界最重量級の飛行展示チーム」と称され、このチームの編隊飛行は、長年にわたり標準的な隊形を踏襲しつつも、より緻密で繊細な編隊構成となっている。飛行演技ではネステロフ・ルーフに始まりバレルロール、ミラー、タイトターン、コブラやテールスライドなどの高度な技を30分にわたり披露。LIMAでの飛行演技中にフレアーを使うことはなかったが、重量級のSu-35sの頑丈な機体にもかかわらず、その機動性を存分にアピールした飛行演技は、来場した観客を魅了した。
何度でも訪れたいLIMAの魅力
マレーシア空軍は西側・東側の航空兵器をバランスよく配備しており、Su-30MKMやF/A-18 ホーネットなどの戦闘機、そして欧州からはA-400M、米国からはC-130輸送機などを運用しており、多種多様な航空機の撮影が楽しめる。また、Su-35sフランカーEを操る「ロシアン・ナイツ」の飛行展示もLIMAでは近年定着しており、アジア圏内でロシア空軍による展示飛行を楽しむことができる数少ない航空ショーでもある。日本の航空祭では見ることができない重力を無視した機動やフレアーを撒きながらの驚異的な機動飛行は、LIMAに参加した航空機愛好家を魅了し続ける一因でもある。
撮影環境面での魅力としては、空港を囲む山々と南国特有の樹々の風景と空をバックに撮影ができることが先ずあげられる。 LIMAの会場となるランカウイ空港では、離着陸で方向が逆になる運用を実施しており離陸はRW21、着陸はRW03を使用。風向き関係なく必ず海側へ離陸し、海側から着陸する運用となっている。基本的にランウエイ・チェンジがなく、航空機写真を趣味としている方にはどのようなシーンで撮影するかを考えて行動すれば、必ず納得いく撮影ができるはずである。空港ターミナル(LIMA展示会場)からは午後が順光となり、空港ターミナルの反対側は午前が順光となる。外周道路へのアクセスも難しくないので、空港からレンタカーやタクシーを利用すると、道路沿に点在する外周の撮影ポイントにもアクセスし易い。展示会場(エプロン)と滑走路の近さ、外周道路からも滑走路は近く100-400mmクラスのズームレンズでほとんどのシーンが撮影でき、LIMA開催中は民間機や近隣諸国からの連絡機なども加わり、レアな航空機の撮影ができるのもここLIMAの魅力である。 できれば2段くらいの脚立を持参できれば、次回開催のLIMA 2027での撮影範囲は無限大である。
地上展示航空機
・マレーシア空軍
Sukhoi Su-30MKM M52-11
Boeing F/A-18D Hornet M45-02
Eurocopter EC-725AP M55-08
Eurocopter EC-725AP M55-04
Eurocopter EC-725AP M55-03
・マレーシア海軍
Aerospatiale SA 365N3 M70-01
・マレーシア陸軍
Agusta A-109E LUH M81-01
MD Helicopters MD-530F M83-04
・マレーシア海上法令執行庁(MMEA)
Canadair CL-415MP M71-01
・ マレーシア警察
Agusta Westland AW-139 9M-PME
・ ブルネイ空軍
Sikorsky S-70i Blackhawk TUDB101/11SQN
・シンガポール空軍
Boeing CH-47F 88160 127SQN
Boeing AH-64D 88066 120SQN
Boeing F-15SG 8303 142SQN
・アメリカ空軍
Lockheed Martine C-130J-30 15-5813/YJ 36AS/734AW
・アメリカ海軍
Boeing F/A-18E Super Hornet VFA-137/NG-301 168866
Boeing F/A-18E Super Hornet KESTRELS/NA-300 168867 USS NIMITZ
Sikorsky MH-60R Seahawk HSM-49 Det.5 TX-48/168157
・カナダ空軍
Lockheed CP-140 Aurora 140108/407SQN
・ドイツ空軍
Airbus A400M Luftwaffe LTG62/54+14
・イタリア空軍
ATR P-72A Argo MM62281
・ブラジル空軍
Embrare KC-390(EMB-390) PT-ZNG
・ロシア空軍
Ilyushin Il-76MD RF-78803
・商用機
LET Aircraft System L410NG OK-JRP
Diamond Aircraft DA-62MPP HS-MPM Asian Aerospace Services
Diamond Aircraft DA-62 HS-TNK
Piper PA-28-181 HS-AMY
Piaggio Avanti ll 9M-TSH
AgstaWestland AW-139 9M-WAS
AgstaWestland AW-139 9M-BOC
◻️掲載月刊誌:月刊JWINGS 8月号 / イカロス出版

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