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Intrepid Sea, Air & Space Museum, New York U.S.A.

ニコラス・ケイジ主演「National Treasure」、ウイルスミス主演「I am Legend」、「ハドソン川に奇跡」などの映画やテレビ番組の撮影ロケ地としても有名な航空母艦 イントレピット(USS Intrepid)。ニューヨーク・マンハッタンの西側、ハドソン川の遊覧観光船乗り場にも隣接するピア(Pier)86に係留され、アメリカ合衆国の「国定歴史建造物」にも指定されている。

1982年に博物館として開館したが、その後、老朽化した船体と係留場所の改修工事が施され、2008年に再オープンし,マンハッタンの景色を楽しみながら艦内の見学を楽しむことができる。コレクションされている航空機は、本艦で運用された海軍機を中心に展示され、航空母艦機ではないアメリカ空軍のA-12戦略偵察機、スペースシャトルや超音速旅客機コンコルドまで見学することができる。 世界でも珍しい航空母艦を博物館にしているイントレピッドではガイド付(事前申込)きで観光も可能であり、今月号では、航空機だけなく、歴史好き、科学好き、観光も大好きな方々が訪問しても飽きさせない「空母博物館」の見どころを紹介する。


日本と因縁の深い空母、USSイントレピッド

航空母艦イントレピット(USS Intrepid, CV/CVA/CVS-11))は第二次世界大戦中の1943年4月26日にヴァージニア州、ニューポート ニューズ造船所で進水したエセックス級航空母艦であった。 第二次世界大戦中の1944年10月にレイテ沖海戦に参加、戦艦武蔵をはじめとする当時の日本海軍機動部隊の攻撃にも参加した。翌1945年には硫黄島上陸作戦、沖縄戦に参加し、戦艦大和の撃沈にも一役を担った空母ではあったが、2度にわたる神風特別攻撃隊の攻撃により損傷も甚大であり、修理のため本国へ帰還している間に、日本の降伏により終戦を迎えた。

戦後は戦闘機のジェット化に伴い、船体改修工事が施され1965年からはベトナム戦争にも投入された。その当時はA-4スカイホーク攻撃機を主力艦載機として搭載し、対潜支援空母と同時に軽攻撃空母として活躍した。

30年間にわたりアメリカ海軍での任務遂行の中で、補給等で神奈川県の横須賀基地にも何度か寄港しているが、老朽化により1974年3月15日に退役した。退役式では、第二次世界大戦の戦功で5つの従軍星章、ベトナム戦争の戦功で5つの従軍星章を受章している。


多彩な航空機が展示されたフライトデック

週末の朝、開館の30分前にイントレピッドの入口に到着したが、既に入場を待つ100mほどの長い列ができていた。入館料を支払い案内図を片手に、エレベーターを使って飛行甲板へ到着。旧型の航空母艦といえ、年代別に並べられた航空機が展示されているフライトデックの広さには驚きを隠せない。デッキには映画TOP GUNで航空機ファンでなくてもその名を知っているグラマンF-14トムキャット(TOMCAT)をはじめ8機のアメリカ海軍戦闘機が展示され、またCIA(中央情報局)向けに開発された極秘戦略偵察機A-12やNASA所属のノースロップT-38A、ヘリコプターなど21機がコレクションとして展示されている。

また、展示ハンガーデッキ内にも修復されたTBF アヴェンジャー(Grumman TBF Avenger )とA-4スカイホーク(McDonnel Douglas Sky Hawk)を中心に4機が展示されている。 同じエリアには1981年から2011年までの30年間で実に135回の打ち上げに成功したNASA(アメリカ航空宇宙局)のスペースシャトル1号機となるエンタープライズ(Enterprise)も公開されており、別棟には1969年にイギリスとフランスで共同開発 生産された英国航空塗装のコンコルド(Concord) / G-BOADが2003年から展示されている。当時コンコルドは英国、フランスからニューヨーク(JKケネディ空港)の定期便を就航させており、高度60,000ft(18,181m)でマッハ2.04(約2160km/h)の速度で所要時間は3.5時間(B747では7時間半)の飛行であった。


映画で綴るアメリカ海軍機

トム・クルーズが一躍ブレイクを果たした「トップガン(1986年)」は、アメリカ海軍パイロットのエリート養成学校に所属するパイロット候補生の挫折と栄光の日々を描いた映画史に残る名作であった。その続編「トップガン マーヴェリック」の日本公開は今年の12月25日と決まったそうである。 それではトップガンで仮想敵機(バイパー)役で登場したA-4スカイホークから紹介していきたい。本機はダグラス社(現:ボーイング)が開発し、1954年6月22日に初飛行に成功した艦上攻撃機である。ベトナム戦争、第4次中東戦争そしてフォークランド紛争などで投入され、その小型で機敏性のある運動性能には定評があった。生産機数は2,960機にも達し、ブラジル海軍では2017年7月まで運用された。 老朽化に伴い軍用機としては退役したが、一部民間にも払い下げられ、今日でも仮想敵国機として研究・試験飛行している機体も存在している。

また、トップガンで一躍その名前を世界に轟かしたF-14トムキャット(TOM CAT)はグラマン社(現:ノースロップグラマン)が1970年12月21日に初飛行に成功した艦上戦闘機であり、アメリカ海軍では1974年9月から運用が開始され、2006年9月までの32年間にわたり第一線で活躍した戦闘機であった。日本では神奈川県の厚木基地を中心に展開した時代があり、2003年9月24日、キティーホーク艦載の第5空母航空団を構成するVF-154(Black Night)のF-14が、米本国のリムーア基地に向けて厚木基地を離陸したのがF-14の最後の飛行であった。

次に1980年に公開された「ファイナル・カウントダウン」で登場するチャンス・ヴォート(Chance Vought) RF-8G。 映画では、原子力空母ミニッツがタイムスリップし、1941年12月6日の真珠湾攻撃前夜のハワイ沖で偵察飛行に出撃するシーンで一役を担った。

F-8は1952年から開発が始まり、1955年3月25日に初飛行に成功。当時、艦載機としては世界初の超音速戦闘機であり、その愛称はクルセイダー(Crusader/十字軍の戦士)と名付けられた。 1957年から部隊配備が開始され、主にベトナム戦争に投入され、1965年までに1,259機が生産された。アメリカ海軍、海兵隊以外ではフィリピン空軍とフランス海軍で採用され、フランス海軍では空母「フォッシュ」が退役する2000年までの45年にわたり艦上戦闘機としての現役を全うしたことになる。

最後に、1954年に公開されたグレース・ケリーとウィリアム・ホールデン主演の「トコリの橋」では朝鮮戦争を背景に北朝鮮へ爆撃に向かうアメリカ海軍グランマンF-9Fパンサーが登場する映画であった。

グラマンF-9Fパンサー(Grumman F-9F Panther)は1947年11月21日に初飛行に成功したグラマン社で初の艦上ジェット戦闘機であった。しかし、「直線翼」で構成された設計は空力的には同世代のMiG-15を始めとする「後退翼」機には空中戦において運動性能で優勢をとることができず、F-9Fパンサーの殆どは地上攻撃が主な任務となった。1953年の朝鮮戦争終了後「後退翼」を装備した改良型のF-9Jクーガー(Cougar)と交代し、パンサーは無人標的機としてその役目を終了した。


本誌では全てのコレクションを紹介することはできないが、イントレピッド海上航空宇宙博物館はニューヨーク観光のユニークポイントでもあり、アメリカ海軍の歴史や宇宙科学の理解を深める場所として時間を作って足を運んで頂きたい。


<訪問のための一般情報>

Intrepid Sea, Air & Space Museum

所在地  :Pier 86, W 46th St & 12th Ave, New York, NY 10036

ウェブサイト :www.intrepidmuseum.org

開館時間 :4/1~10/31 月曜―金曜日  10:00-17:00 土・日・祝日  10:00 -18:00

11/1~3/31毎日(休日を含む)10:00-17:00      **最終入場は閉館の1時間前まで

入館料 :大人:$33、子ども(5歳から12歳):$24

交通 :地下鉄:A/C/E/R/N/Q/W/1/2/3/7線「42nd st Times Square駅」で下車、北西へ徒歩20分ほど

            バス:クロスタウンのM34, M42, M50に乗り、12Aveで下車。(M50のバスは博物館の目の前で下車することが可能)


◽️掲載誌:月刊航空情報 2020年9月号 / せきれい社


<General information for visits>


Intrepid Sea, Air & Space Museum

Location: Pier 86, W 46th St & 12th Ave, New York, NY 10036


Opening hours: 4 / 1-10 / 31 Monday-Friday 10: 00-17: 00 Saturdays, Sundays, and holidays 10: 00-18: 00

11 / 1-3 / 31 Every day (including holidays) 10: 00-17: 00 ** Last admission is until 1 hour before closing

Admission: Adults: $ 33, Children (5 to 12 years old): $ 24

Transportation: Subway: Get off at "42nd st Times Square Station" on the A / C / E / R / N / Q / W / 1/2/3/7 line and walk northwest for about 20 minutes.

Bus: Take M34, M42, M50 in Crosstown and get off at 12Ave. (M50 bus can get off in front of the museum)


◽️ published Magazine: Monthly Aireview September 2020 / Sequireysha Ltd.

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