Decrease in aviation demand due to spread of COVID-19 infection, The Netherlands

新型コロナウイルスと欧州航空業界の現状

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大による航空需要の減少が、世界の航空業界に深刻な打撃を及ぼそうとしている。 3月11日に米国のトランプ大統領が30日に渡り「欧州からの渡航禁止」を発表したことが、ひときわ欧州の航空業界に大きな波紋を広げている。

大手航空会社をはじめ既に減便や運休などを強いられている航空会社にとっては、さらなる経営的なダメージが大きくなる可能性が高い。 欧州バブ空港の一つ、アムステルダムのスキポール空港を訪れその現状を報告する。


欧州航空業界で何が起きているのか?

新型コロナウイルス(COVID-19)が発症する以前から、欧州の航空業界は「大規模航空グループ」に集約されていた。 その中でEUの航空自由化政策によってエールフランス-KLMやルフトハンザ-ユーロウイングなどを筆頭にグループ化が行われ、イージージェットやライアンエアーなどのLCCと価格、サービス面で競争するようになった。 大きなグループ化したメガ・キャリアが台頭する中で、「フラッグキャリア」を保持することに固守した小国で運営していた小規模航空会社はニッチな路線の開発によって活路を見出そうとしていた。

このような状況が続く欧州内では、軟弱な基盤で経営している航空会社が乱立した経緯がある。

乗客数が減少し航空路線が閉ざされた中で、英国のFlybe(フライビー)が3月5日に倒産したことはご周知のとおりである。

Flybe(フライビー)は1979年に創業し、英国のセクター空港を拠点に、英国と欧州各国を結ぶ便を運行してきた、まさにニッチな路線開拓で業績を伸ばしてきた航空会社であった。

イタリアの感染急拡大を受け、追い打ちをかけるように欧州に向かう国際線の予約は80%減少し、2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)での落ち込みをしのぐことは確実となった。このような中でエールフランス-KLMは減便に加え、従業員2000人の解雇を3月13日に発表した。これに追従する形でスカンジナビアの航空会社SAS AB(SASグループ)は最大10,000人の従業員または従業員の90%を一時的に解雇すると発表し、フィンエアー(AY)は3月16日の発表で、4月より自前の航空路線のトラフィックを大幅に調整し90%を削減すると語った。

さらにLCCのパイオニアであるライアンエアもフィンエアに追従するかのように同日、4月以降の運行を80%削減すると発表し、航空業界の行先不安に暗い影を落としている。


新型コロナで欧州航空業界の再編の兆し?

航空会社の業界団体である国際航空輸送協会(IATA)は3月5日になって、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、2020年の旅客収入が約19%、最大で1,130億米ドル(約12兆円)下がると試算を発表した。また、3月12日には、米国による入国禁止がさらに打撃を与えるとして、航空業界を支援するよう各国政府に追加コメントを発表している。

ルフトハンザ航空(LH)は独政府などに資金繰り支援を要請、その他の欧州の航空会社も同じような動きが浮き彫りになってきている。特にポルトガルのTAP、アリタリア(AZ)、スカンジナビア(SK)航空など中堅クラスの航空会社は財政基盤が強固ではなく経営が危なくなる可能性がある。このままの状況が欧州内で続くことにより、4月末までの間に40%以上のフライトが運休に入り、最大で従業員の半数を解雇していくことが考えられ、新しい業界再編成の可能性も見据えていかなくてはならない状況である。

欧州にかかわらず世界の航空業界が厳しい環境の中で生き残りに向けて正念場を迎えている。


◽️掲載誌:月刊エアライン 2020年5月号 / イカロス出版



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