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Canadian Warplane Heritage Museum, Hamilton, Ontario Canada

人気の観光地、ナイアガラ。 トロントからナイアガラの滝観光に向かう途中にあるハミルトン・ジョン・C・マンロー国際空港はトロント空港からでも車で約1時間の距離。本誌2020年7月号で紹介したカナダ空軍航空博物館と肩を並べるカナダ国内では有名な航空博物館であり、カナダ政府によって文化財の指定を受けている航空博物館の一つである。最大の特徴は、この博物館は“Flying Museum”として47機の展示機体の内、70%が飛行可能もしくはエンジンが稼働状態に整備され、毎年9月の第3週の週末に航空祭が開催されている。今月号では、日本の航空博物館ではお目にかかれない魅力的な航空機にスポットライトを当て紹介する。


コロナ禍の飛行再開を決定

戦勝75周年を記念する2020年7月1日(Canada Day)を迎えるにあたり、当博物館は6月26日から新型コロナ感染対策を徹底し、メンバーのみの公開に限定した博物館の再開を実施した。当日は、アブロ・ランカスター爆撃機による記念フライトが実施され、ハミルトン空港を離陸後、ナイアガラの滝、トロント市上空とCNタワー上空を飛行し、ハミルトン空港へ戻るコースがとられた。以降、当館では週末を中心に事前予約による、C-47,ランカスター、B-25による体験フライトがメンバーのみに実施されている。世界でも希少なこのアブロ・ランカスター爆撃機は1941年1月9日に初飛行に成功し、1963年に退役するまでの22年間で7,377機が生産された英国の戦略爆撃機である。このアブロ(Avro)社が開発した爆撃機の名前「ランカスター (Lancaster)」は英国のランカシャー州ランカスター市に由来し、英国をはじめ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど10ヶ国で運用された。当時、カナダではトロント郊外に生産工場をもったビクトリー・エアクラフト(Victory Aircraft/その後のアブロ・カナダ)社が3000機以上のアブロ・アンソンと430機にのぼるランカスターの生産を手掛けていた。現在、飛行可能なランカスターは英国に1機と本博物館の1機の計2機だけである。しかし、調べてみると5機のランカスターがフランス、英国、ここカナダでも現在修復作業が行われており、近い将来に飛行する姿を見ることも夢ではない。魅力的な展示機を見学                                   メインハンガーには、広めの展示スペースが確保されており、比較的写真撮影には優しいレイアウトで大戦機が展示されている。その中で特徴的な航空機を紹介していきたい。


グラマン(Grumman)TBM-3E Avenger                         

本機はアメリカ海軍の艦載機で雷撃を主体とした対水上艦攻撃機として開発された航空機であった。プロトタイプXTBF-1は、1941年8月にニューヨーク州ロングアイランドのベスページにあるグラマンエアクラフトで初飛行に成功し、1942年1月までに最初の量産型が海軍に収められ、1942年6月のミッドウェイ海戦に投入された。     アベンジャーは、グラマン社で製造された機体とニュージャージー州トレントンの工場にあるGMイースタン・エアクラフト・ディビジョンはでも製造されていた。生産された合計9,839機の内、グラマン社が製造した2,293とGMイースタン・エアクラフト・ディビジョン社が製造した機体は7,546機であり、TBMの制式番号が付けられ、TBM アベンジャーの呼称で呼ばれた。


コンソリディテド(Consolidated)PBY-5A Canso                       

母体となるPBY カタリナ(Consolidated PBY Catalina )は、1935年3月28日に初飛行し、1936年10月から運用を開始、第二次世界大戦中はアメリカ海軍を始めとして、連合国各国で対潜哨戒沿岸警備海難救助などに用いられた。カナダにおいては、1940年後半までにボーイング・カナダエアクラフト社において、PBYカタリナをベースとした55機におよぶCanso(カンソ)の発注がされ、カナダ用に製造された本機は1941年7月に初飛行に成功している。また、同じ時期にカナディアン・ビッカーズ社はライセンス生産を手掛け、1942年12月に最初のCansoが飛行し、その総生産機数は730機におよんだ。


ノースアメリカン(North American) B-25J Mitchell Mk. III               

B-25 ミッチェルは、1938年より開発が開始され、初飛行は1939年1月29日であった。アメリカ陸軍海軍のほか、オーストラリアイギリス(900機以上)・中華民国オランダソ連を含む21の国々によって運用され、9,816機が生産された。第二次世界大戦中の1942年4月18日には空母ホーネット(CV-8)から発艦し、日本本土への爆撃ドーリットル空襲)で使用された。1944年から1962年の間でカナダにおけるB-25の役割は大戦中は戦術爆撃、戦車破壊などでの役割を果たした。しかし、製造された164機のB-25のほとんどは世界大戦後の機体であり、航法訓練や偵察任務および輸送の役割が主体となった。


ダグラス(Douglas) DC-3 Dakota                          

1935年12月17日に初飛行し、翌年の1936年から運用が開始され、旅客型としては607機が製造され、第二次世界大戦中に空挺団や物資の輸送など軍用型のC-47(Skytrain)として製造された機体は10,000機を超えた。カナダ空軍は1943年3月から終戦の1945年までの2年間で約1,930機のダコタを受け取り、兵員輸送機の役割を担った。2020年現在、初飛行から85年以上経った現在も一部、民間輸送などで運用されている。


ノースアメリカン(North American) Yale                      

North American Yale(ヤーレ)は、有名なハーバード(Harberd)練習機の初期の固定脚型の航空機であった。初飛行は1940年2月12日であり、近代的な練習機として米航空隊から発注され、カナダ、フランスに輸出された。第二次世界大戦当時のナチスドイツは、フランス軍から捕獲した同機体をドイツ空軍によって基本的な飛行から高度な戦闘機戦術まで、あらゆるタイプの飛行戦術訓練に使用したことである。この経験によりドイツ空軍のパイロットはアメリカの航空機の取り扱いに慣れることにもなり、空中戦における基本的な飛行パターンを読み取り易く、先手を打つことができたと言われている。


ハンガー内と外に展示された機体を丁寧に見学すると2時間位の時間が必要となる。また、外の展示は、基本的に空港内のエプロンに入るため、博物館の説明ボランティアの同行が必要となるので、入り口で予約が必要である。まだまだ紹介したい航空機もあり、全てを掲載することはできないが、新型コロナの感染拡大も収まり、また自由に渡航が可能になった暁には、ナイアガラの滝への移動に途中で立ち寄っていただきたい航空博物館である。



訪問のための一般情報


Canadian Warplane Heritage Museum

住所  :9280 Airport Road, Mount Hope, Ontario, L0R 1W0, Canada

連絡先 :+1-905-679-4183

開館時間 : 10:00から16:00

休館   : 月曜と火曜、12月25、26日と1月1日


アクセス :レンタカーを借りた場合は高速を利用してハミルトン空港へ約1時間で到着。

一般交通機関利用の場合は、トロント市内から40番のバスでKing St. E. Hughson St.まで約1位間。20番のバスに乗り換えてAirport opposite Canadian Warplane Heritageで下車。40分の所要時間がかかり、トータルで約2時間のバス旅である。


◽️掲載誌:月刊航空情報 2021年3月号 / せきれい社


General information for visits


Canadian Warplane Heritage Museum

Address: 9280 Airport Road, Mount Hope, Ontario, L0R 1W0, Canada

Contact: + 1-905-679-4183

Opening hours: 10:00 to 16:00

Closed: Mondays and Tuesdays, December 25th, 26th and January 1st



Access: If you rent a car, take the highway to Hamilton Airport in about an hour.

By public transport, take bus number 40 from Toronto to King St. E. Hughson St., which is about 1st. Change to bus number 20 and get off at Airport opposite Canadian Warplane Heritage. It takes 40 minutes and is a total of about 2 hours by bus.


◽️Published Magazine: Monthly Aireview March 2021 / Sequireysha Ltd.

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