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Caboolture Warplane & Flight Heritage Museum, Caboolture QLD, Australia

オーストラリア、クイーンズランド州の表玄関ブリスベン空港から車で約50分。クイーンズランド州で唯一、飛行可能な大戦機を保管し展示している航空博物館がある。この博物館の設立コンセプトは、飛行可能な状態に修復された航空機を保管し、大戦期における国の歴史の遺産を広く紹介することにある。今月号では、代表のロス・パーカー(Ross Parker)氏にも直接話を聞くことができ、このフライングミュージアムの魅力について話を聞くことができた。


体験型航空博物館の魅力

航空情報9月号(2023年7月21日発行)に掲載されたQueensland Air Museumでは、日本では見ることができない珍しいオーストラリア製の航空機を紹介させて頂き、読者の皆様には興味を持って頂いたと思う。今月号では、そのオーストラリで設計・製造された航空機を中心に飛行可能な航空機を展示している航空博物館を取り上げ、熱心な大戦機ファンには必見のカブールチャー・ウォープレイン&フライト・ヘリテージ・ミュージアム(以降、CWFHM)を紹介する。

この博物館が立地する、カブールチャー飛行場(Caboolture Airfield)は

カブールチャー・エアロ・クラブ(Caboolture Aero Club)が管理し、飛行場の周辺には、複数の航空学校、そしてビンテージ航空機の整備やレストアのための施設として、オーストラリアン・アビエーション・ヘリテージ・センター(旧ビューフォート・レストア・グループ)やコンプリート・エアクラフト・ケアなどの航空機レストアグループが活動している飛行場でもある。

今回訪問したCWFHMで特に希少な航空機としては、1936年10月に設立されたオーストラリアの民間航空機製造会社コモンウェルス・エアクラフト・コーポレーション(Commonwealth Aircraft Corporation/以降、CAC表記)が製造したCAC ウィラウェイ(Wirraway) CA-16とCACウィンジール(Winjeel) CA-25練習機が飛行状態を維持して展示されていることである。また米国で製造されたノースアメリカンSNJ-4テキサン(Texan)とT-28B トロージャン(Trojan)練習機、そして デ・ハビランド DH.60ジプシー・モスも動態保管され展示されている。  航空機以外では、レシプロエンジンや第二次世界大戦時の戦闘機パイロットでアボリジニの血を引くレナード・ウォーターズ(Leonard Waters)の遺品の展示、UH-1ヒューイヘリコプター、そしてゼネラル・ダイナミクス社が1960年代に開発した戦闘爆撃機F-111のクルーモジュール(コックピット部分)の展示も見学ができ、希望すればF-111のコックピットに座り、当時の爆撃ナビゲーション装置などにも触れることが可能だ。小さな航空博物館ではあるが、オーストラリアの航空機遺産と言えるCAC ウィラウェイ(Wirraway) CA-16やCACウィンジール(Winjeel) CA-25をはじめとする希少な航空機や大戦中のオーストラリア空軍の資料などの見学もできる。また事前予約で憧れの大戦機でアドベンチャーフライトも可能であり、国内外の大戦機フアンにとっても人気の航空博物館である。


「飛翔人生」を振り返る

実際にエンジンが稼動し、大空を飛行できる大戦機を保管している航空博物館は、ここオーストラリアでも希少な航空博物館の一つである。一般的に大戦機パイロット育成に始まりメンテナンスクルーの確保、そして維持していくための運営コストなど高いハードルがある。1993年に開館し30年の歴史を刻んできたCWFHMの代表ロス・パーカー氏は、2019年から現職に就いている。ロス・パーカー氏は高校卒業後、オーストラリア空軍(Royal Australian Air Force/以降、RAAF表示)士官学校に入学。卒業後は、CA-30(アエルマッキMB326/ライセンス生産型)ジェット練習機で基礎コースを修了。その後はデ・ハビランド・カナダ DHC-4 カリブー輸送機に乗務した。大型輸送機の経験を積んだ後、1981-1986年まで首都キャンベラにある要人輸送を司る第34飛行航空団の配属となり、BAC1-11とボーイングB 707の専任機長として従事し、1986年に空軍を退職。香港をベースにするキャセイパシフィック航空(CX)に就職しB747-200、-300、-200Fに10年と5,000時間乗務した後、B777にも乗務。日本へのフライトでは数え切れないほど来日した経験の持ち主であり、知日家でもある。2018年にCXを退職したが、退職する前の20年間は、オーストラリアの航空史の中で、特に第二次世界大戦とベトナム戦争に関連する資料ならびに遺物を整理・保管する地道な仕事を併用して行なってきた。これは彼にとってオーストラリアにおける軍用および民間航空の歴史を史実に基づいてより広いコミュニティに広め公開することを目的として準備をしてきた一環であった。

また、この期間に最も注力したことは、オーストラリア製航空機CAC ウィラウェイCA-16を3年かけてレストアすることであった。その時代を代表する航空機を動態保存し、新しい世代の人達に、当時の航空機機器やその技術の発展について実機に触れながら学べる場を広く提供することにあった。

2023年7月時点での総飛行時間は25,000時間を超え、ウィラウェイCA-16やトロージャンT-28Bを自ら操縦するロス・パーカー氏は今年68歳。大空への情熱を胸に、今後も現役のパイロットとしても活動していきたいと語ってくれた。


世界でも希少なオーストラリア製航空機

CAC ウィラウェイ(Wirraway) CA-16

アボリジニの言葉で「挑戦」を意味するウィラウェイは、CACが1939年から1946年にかけてビクトリア州のフィッシャーマンズ・ベンドで製造された訓練用および汎用軍用機である。この航空機の元祖は1935年に初飛行したノース・アメリカン・アビエーションの高等練習機NA-16-2K(T-6テキサンファミリー)をオーストラリアで生産したものである。プラット・アンド・ホイットニー(P&W)社製R1340ワスプ・エンジンを搭載し、CACは1939年から1946年まで合計755機のウィラウェイを製造。このタイプは、地上攻撃/軽攻撃爆撃機として、また「緊急用」戦闘機としても前線で使用され、装備としては500ポンド爆弾1発、250ポンド爆弾2発、あるいは前方に発射するヴィッカース Mk V 7.7 mm機銃1対を装備することができた。第二次世界大戦中の1942年12月26日、ニューギニア方面にて日本の零式戦闘機(零戦)に対して急降下からの射撃にて1機撃墜をしたとの記録が残っている。第二次世界大戦中、そして戦後の1958年までオーストラリア空軍の練習機として運用されたCA-16であったが、1955年に初飛行した国産の新型練習機CACウィンジール(Winjeel)と交代した。

CAC ウィンジール(Winjeel) CA-25

アボリジニの言葉で「若鷲」を意味するウィンジールは、CACが製造しその試作機としてCA-22が2機生産され、1951年2月3日に初飛行している。試作機C-22は安定性に優れていたが、安定性が高すぎて練習機としての必要条件が整わず、水平尾翼の改造に始まり、エンジン位置の調整、航空機全体の空力特性を左右する翼胴フィレットの大型化、キャノピーの改善が行われた機体は「CA-25ウィンジール」と命名され,1955年9月より運用が始まった。

機体は圧延アルミニウム製の低翼航空機で、プラット・アンド・ホイットニー(P&W)社製R985-AN29エンジンを搭載する単発機であったが、並列複座式コックピットの右座席後部に後席を備えることで同時に2名の訓練が可能となっていた。

1968年、練習機のジェット化計画によりCA-30(アエルマッキMB-326)が導入されたが、最終的には1994年まで運用され生産機数は62機であった。


訪問を終えて

オーストラリア製ウィラウェイやウィンジールの機体を見学し触れるだけでもオーストラリアの航空の歴史を新しい視点で楽しく学んでいただける航空博物館である。欧州や北米を中心にフライングミュージアムが点在するが、このCWFHMは第二次世界大戦時の航空機を含む、飛行可能な状態に復元されたビンテージ航空機の展示をはじめ、「見て、学んで、触れて、体験して」という航空機本来の素晴らしさを体感できる世界でも希少な航空博物館でもある。

事前に訪問の予約をしておけば、英語の解説にはなるがボランティアによって展示機について詳しく説明してくれ、場合によっては展示機のコックピットにも座ることも可能だ。そして余裕があれば是非、アドベンチャーフライトにも挑戦していただき世界最大のサンゴ礁であるグレート・バリア・リーフを空から楽しんでいただきたい。

アドベンチャーフライト料金:2023年7月現在

ウィラウェイCA-16フライト : 20分A$550; 30分A$650

トロージャン T-28B フライト :20分A$800; 30分A$1,100

**詳細はホームページにて事前に確認のこと


訪問のための一般情報

Caboolture Warplane & Flight Heritage Museum


住 所:104 McNaught Rd., Caboolture QLD 4510, Australia

連絡先:+61 07 54991144

Fax : +61 07 54990766

開館時間:毎日09:00-15:00

**閉館日:12月25日, 12月26日(Boxing Day), 1月1日とイースター前の金曜日(Good Friday)

Website: http://www.caboolturewarplanemuseum.com/

入館料::大人A$8.00 子供A$5.00


⬜️掲載誌:月刊航空情報 10月号2023年(せきれい社)


General Information for Visiting

Caboolture Warplane & Flight Heritage Museum


Address: 104 McNaught Rd., Caboolture QLD 4510, Australia

Contact : +61 07 54991144

Fax : +61 07 54990766

Opening hours: 09:00-15:00 daily

**Closed: December 25, December 26 (Boxing Day), January 1 and the Friday before Easter (Good Friday)

Website: http://www.caboolturewarplanemuseum.com/

Email: caboolturewarplanemuseum@gmail.com

Admission: Adults A$8.00 Children A$5.00


⬜️ Publication: Monthly AIREVIEW October 2023, Sequirey Co. Ltd

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