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Aerospace Bristol Filton Airfield Bristol, United kingdom

今月号で紹介するエアロスペース・ブリストルは、ブリストル北部フィルトンにある航空宇宙博物館である。かつては超音速旅客機コンコルドが生産された場所でもあり、周辺をエアバス社やロールスロイス社の工場に囲まれた博物館内には、8000点を超える航空機に関係するコレクションが展示され、1世紀に渡る英国の航空機の変遷とともにブリストル製航空機の歴史を学ぶことができる。


新しい時代の航空博物館誕生

エアロスペース・ブリストルは、2017年10月17日に一般公開された航空博物館であり、9エーカー(大阪ドーム1個分)の敷地には、第二次世界大戦時の格納庫も活用し、5,000m²以上の一般展示スペース、1,700m²の室内学習スペースとワークショップ、5,000m²以上の屋外学習と航空機の修復施設が併設されている。

航空機の展示としては、コンコルド216、ブリストル・スカウト、ブリストル・ファイター、ブレンハイムIV(第二次大戦中のブリストル・ボリングブローク爆撃機、修復中)など、ブリストル製航空機の展示と多くの縮尺模型が収蔵されている。展示は、航空界の7つの時代をテーマとし、コンコルドの誕生物語を伝える格納庫には、2003年11月26日に引退したコンコルド216(G-BOAF)がここフィルトンで組み立てられた最後のコンコルドとして展示され、現在ではブリストル市と南グロスタシャー州の航空史の伝承役としてここフィルトン地区の「遺産センター」の役割を担い、航空機ファンに限らず人気の展示施設となっている。

またこの博物館では、英国のモノづくりを次世代に継承することを目的とした、学校と青少年団体のための専門施設を備えた学習センターを備えている。これは学校向けに実践的な学習プログラムを提供し、科学技術の発展を支える「理系人材」を育てるSTEM(*)スキルを身につけ、工学分野のキャリアの可能性をこども時から発見してもらうことを目的とした未来に繋げる活動として地元政府の支援も受け、国内外から注目されている。

(*)STEM: STEM教育は、science, technology, engineering and mathematicsの教育分野を総称し、科学技術開発の競争力向上という観点から教育政策や学校カリキュラムに組み込まれ、長期的には、労働力開発や安全保障、そして移民政策の促進にも繋がる施策として注目されている。


名門ブリストル航空機の系譜 

<設立期>

ライト兄弟の有人飛行成功(1903年)から7年後の1910年、英国ではアブロ(Avro/1月1日設立)社と並び航空機を製造する会社が同年2月19日にフィルトンに設立された。

会社の名前はブリティッシュ・アンド・コロニアル飛行機会社で、当時Bristol Tramways and Carriage Company の会長であり、この地域の起業家であるジョージ ホワイト卿(George White185年−1916年)が潤沢な資金を背景に新会社をスタートさせた。

 ホワイト卿が航空機の製造ビジネスに興味を抱いたのは、前年の1909年に欧州を訪問していたライト兄弟の兄ウイルバー・ライトとパリで偶然知り合い、それ以来「航空ビジネス」の可能性を探求し、弟のサミュエルと息子のスタンレーと共に航空機製造の工場を設立。英国で最初に商業ベースで運営された航空機生産工場となった。これは当時、航空工学の先駆者であったホラティオ・フレデリック・フィリップス(Horatio Frederick Phillips 1845年−1924年)が英国の空で動力付き飛行機の初飛行が記録されてから 3年足らずの出来事であった。

<2度の世界大戦を通じて>

第一次世界大戦(1914年)が勃発すると、ブリストルはレース機として人気の高い単座複葉機ブリストル スカウト(Scout)を陸軍や海軍航空隊からの依頼で生産投入した。 1916 年9月には、複座複葉機ブリストル F.2 戦闘機が戦線に投入され、更に改良が加えられ速度も向上し、ルイス機銃が2挺装備されたブリストル タイプ 14 F.2B が加わる事になる。 この驚異的な生産スピードによって、終戦までに5,300 機以上の F.2 戦闘機が生産され、ブリストルの名前は英国以外の国にも轟く大きな転換期となった。

 第一次大戦が終結した2年後の1920 年には、生産された航空機が全て「ブリストル 」と呼ばれたため、ブリティッシュ・アンド・コロニアル飛行機会社はブリストル・エアプレーン・カンパニー(以降ブリストル )と改名された。この当時、ブリストルは、戦後の会社経営に困窮したコスモス・エンジニアリング・カンパニーの航空エンジン部門を買収。ブリストルで製造される航空機のエンジンは全て自社製となった。これにより新しい技術者が投入され、また品質管理を徹底したことにより、最終的にはエンジン部門は利益を上げ、空冷星型エンジン供給の地位を確立する事になる。

 第二次世界大戦前の1935年になると、ブリストルは従業員4,200名を超える上場企業となり、軍からの新型機の開発依頼にも積極的であった。その甲斐もあり、研究や試作に取り組む時間が増し、技術者の経験値や技量が向上したことにより、機動性を持った軽爆撃機ブレニムの完成は拡張する英国空軍に最も貢献した航空機であった。また、1939年9月から始まった第二次世界大戦中では、地上攻撃機や雷撃機として1940年に開発された複座双発のボーファイターの開発が成功をおさめる。重戦闘機としての役割も備え、また搭載量に余裕もあったことからレーダーを備えられたことも夜間戦闘機としての活躍の場を作り、英国連邦諸国の航空隊や米国陸軍航空隊でも運用された。


<戦後の事業転換へ>

 第二次世界大戦終戦後(1945年9月)、ブリストルはウエストン・スーパー・メア工場を分離してヘリコプター開発に注力し、その先駆者として名高いラウル・ハフナー(Raoul Hafner/1905年-1980年)を中心にヘリコプター部門を新設した。英国空軍からの要望で兵員輸送や物資輸送など多目的ヘリとしてタンデムローター式のブリストル・ベルヴェデアを開発。1958年7月には初飛行に成功し26機が生産されたが、それ以降は注目される機体もなく1960年にはウエストランド社(現アグスタ・ウエストランド社)に買収されている。

 一方民間航空機開発については、当時英国は米国と比べて遅れをとっており、ブリストルは、ブラバゾン委員会(**)の報告書に求められたロンドン-ニューヨーク間のような12時間におよぶ航空旅行にふさわしい豪華座席の大陸横断旅客機の開発に着手することになる。その結果、戦後の民間航空の推進1号機として1949年9月4日に初飛行に成功した大型旅客機ブリストル・ブラバゾンであった。広々とした豪華な客室と充実した設備を基本設計とされたが、旅客収容能力は60人から80人と機体の大きさの割には座席数が少ない機内設計であり、また当時これだけの巨人機を離発着させるだけの長い滑走路を持った空港は少なく、結果的に実用性に欠けた機体として航空会社からの受注は無く、2機のみ製作され計画は中止された。

 世界の空港で安全に運用ができる実用性の高い航空機として1947年からターボプロップエンジン4発を基本とした新型機開発がスタートし、1952年8月にブリストル175のプロトタイプが初飛行に成功し登場したのが「ブリタニア」であった。「The Whispering Giant(ささやく巨人)」という言葉が作られたほど、航空機としてその評価は決して低くはなかったが、エンジンの開発に手間取り、運行開始時期は初飛行から5年の歳月が経過した1957年であり、同じ年代に登場したボーイング707、58年に登場したダグラスDC-8、そして59年に登場したコンベア880など米国製ジェット旅客機の導入が進む中、その存在価値は薄れその後貨物機に改造され、85機生産された同型機は1970年代に入ると一線を退くことになった。


<欧州グローバル化の影響>

1959年に入るとブリストルは英国政府の方針によって強制的にイングリッシュ・エレクトリックハンティング航空機およびヴィッカース・アームストロングの各社と合併させられ、ブリティッシュ・エアクラフト・コーポレーション(BAC)が誕生する。さらに1977年にはスコティッシュ・アビエーションとホーカー・シドレーの2社を加えて国営化され、同年4月にはブリティッシュ・エアロスペース(BAe)となり、そのBAeは、1999年11にはBAEシステムズへと移行され、独自に航空機を開発することが少なくなり、欧州の同業メーカーと共同で航空機を開発する会社として空軍、陸軍、海軍向けのサポートサービスやシステムインテグレーターとして脚光を浴びる事になる。近年では、ユーロファイターの後継機として次世代戦闘機の共同開発として「テンペスト」が注目され、2018年に日本の航空自衛隊のF-2戦闘機の後継機候補に上がったことも記憶に新しい。

(**)ブラバゾン委員会(Brabazon Committee)

第二次世界大戦中、アメリカとイギリスは多発航空機の製造の責任の分割に合意し、アメリカは輸送機、イギリスは重爆撃機を担当した。その結果、戦争の終結まで英国は輸送機の設計、製造、最終組み立ての知験を得られず、いずれ生産設備や人材不足に直面すると危惧されていた。そこで1942年12月23日に、大英帝国の将来の民間旅客機及び市場の需要を調査するためにブラバゾン委員会が設立。委員会の最終調査の結果、戦後4機種(のちに5機種)の航空機が必要になると提言され、各種仕様にもとづいた航空機開発が進められた。


ブリストル飛行機会社単独で製造した現代航空機は見ることはできないが、英国が誇る名門の航空機メーカーとして、この航空博物館で展示されている代表的なブリストル製航空機を紹介しておきたい。


ブリストル スカウト(Bristol Scout)

1914年2月に初飛行に成功し、80馬力のグノーム・ラムダ・ロータリーエンジンを搭載したスカウトA型が同年5月にファーンボロ飛行場で157kmの最高速度を記録している。

黎明期の軽量飛行機の例にもれず、イギリス陸海軍の航空隊によって、着弾確認や索敵機として採用された。武装装備については、ライフル銃をプロペラ回転面の外側前方に向けて装着されたが、同調式機銃が一般的なると本機は時代遅れの航空機となった。以降、ブリストル スカウトは最前線での任務から引退した後は公式には練習機に分類されたが、実際にはほとんど訓練部隊には送られず、上級士官の個人的な「乗用機」として部隊に残り、374機が生産された。


ブリストル F.2 ファイター(Bristol F.2 Fighter)

1916年9月9日に初飛行した複葉・複座の戦闘機であり偵察機としても活用された。実機製作前の研究機(R.2A)では160馬力のビアードモア・エンジンを搭載したが、イスパノ・スイザ150馬力エンジンに変更が施され、最終的にはロールス・ロイスファルコンl型エンジンを搭載しF.2の実機が製作されている。当初から複座戦闘機として設計されていた本機は、当時英国では標準的な武装である、前方向けヴィッカース製プロペラ同調7.7mm機銃1挺と観測用員席の回転リングに装備された7.7mm旋回式ルイス機銃が1挺装着されていた。第一次世界大戦終結時、イギリス空軍は1,583機の実働のF.2ファイターを保有し、速度や運動性において単座戦闘機にも勝るとも劣らない戦闘機として、海外においてはベルギー、カナダ、メキシコ、ニュージーランド、ギリシャ、スペインなど14ケ国で運用され総生産機数は5,329機であった。


ブリストル ボーファイター(Bristol Beaufighter)

双発の重戦闘機として長距離を飛行できる昼間戦闘機として開発された機体であり、試作一号機の飛行は1939年7月に実施され、運動性にも定評があり一年後の1940年7月から英国空軍への納入が開始された。発動機についてはブリストル社製空冷のハーキュリーズエンジンを搭載した機体が基本であったが、戦時中の生産数確保のため一部の機体にはマーリン社製のMk.XXエンジンを搭載した。また、武装については機首下にイスパノ Mk.II 20mm機関砲4門を装備しており、空軍での運用開始と同時に夜間戦闘機としても活用され、レーダーを装備したボーファイターMk.VIF型が1941年から大きな戦果を挙げ、英国空軍をはじめオーストラリア、カナダや米国陸軍航空隊などで運用され、5,928機が生産された。


ブリストル・ベルヴェデア(Bristol Belvedere)

双発タンデムローターの軍用ヘリコプターであり、1952年1月に民間用のヘリコプターとして初飛行しているブリストル173型をもとに設計された兵員輸送、補給品の投下、傷病兵の搬送を含む様々な輸送任務を目的に1961年から運用が開始された多目的ヘリコプターである。5機の試作機が製造され、量産型には夜間飛行が可能となる航法装置が搭載された。全26機のベルヴェデアが生産され英国空軍では1969年まで運用された。



訪問のための一般情報

Aerospace Bristol

住所:Hayes Way, Patchway, Bristol BS34 5BZ United Kingdom

連絡先:+44 117 931 5315

開館時間:毎日10:00−16:30

休館日:3月7日、9日、4月20日、9月14日

入館料:一般£19.5(18歳以上)シニア£18(65歳以上)、子供£12(4歳-17歳)

アクセス:ブリストル市内、Redcliff Hillから75番のバスで40分、Gipsy Patch Laneバス停で下車、徒歩10分。タクシーでは市内から約20分(片道£38程度)

**2023年1月現在の情報参照


⬜️掲載誌:航空情報4月号/2023年 せきれい社


Aerospace Bristol Filton Airfield Bristol, United kingdom

Aerospace Bristol is a new major industrial heritage museum that inspires and entertains today's and future generations, through the presentation of the stories and achievements of Bristol's world-class aerospace industry. Travel through more than a century of remarkable aerospace history - including aeroplanes, helicopters, engines and space technology - and step aboard the last Concorde ever to fly. Opening Hours: Aerospace Bristol is open 7 days a week, 10am to 4.30pm. The café and shop are free to enter and open during museum opening hours. Opening hours are subject to change and we highly recommend checking this page before setting out. Our currently closure dates and adjusted hours can be found below.

Aerospace Bristol Websight: https://aerospacebristol.org/



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