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Royal Museum of the Armed Forces and Military History、Brüssel Belgiun

ベルギー独立50周年を記念して1880年に建設されたブラッセル、サンカントネールにある王立軍事歴史博物館(Armed Forces and Military History)を訪問した。ここは1910年に開催されたブラッセル万国博覧会の会場跡地を利用し、1923年に開館した博物館である。 30ヘクタールの広大な敷地の中には、凱旋門、軍事博物館、歴史博物館、オートワールドなどの施設が混在しており、南館と北館に分かれた展示館には中世から第二次世界大戦までの武器、軍装品や戦争の記録、植民地だったコンゴの部族の兵器などを見学することができる。北館は、1972年にAir and Space Galleryとしてオープンした通称「格納庫」があり、実に70機以上の魅力的な航空機が展示されている。


ミリタリーマニアも大絶賛

王立軍事歴史博物館(Armed Forces and Military History)の展示物の全てを見学すると半日以上は時間を費やすだけの見所が多い博物館であるが、第1次世界大戦時のポスターや防毒マスクや各国の制服などが陳列されており、また写真でしか見たことがなかった熱気球や飛行船のゴンドラ、そしてレッドバロンと呼ばれたマンフレート・アルブレヒト・フォン・リヒトホーフェン男爵仕様のフォッカーDr.I 425/17(レプリカ)のなど実物大の航空機が再現されているのを見学できる。

 展示機の中でも第二次世界大戦時にBattle of Britainで活躍したスピット・ファイヤー(Spitfire LF Mk. IXc / MJ360/GE-B) 、ホーカー・ハリケーン(Hawker Hurricane Mk.IIC / LF345/ZA-P)戦闘機をはじめとした英国空軍機が展示され、ドイツ機ではユンカースJu-52/3mg7e(Junkers /6309) 、ドイツ空軍の初等練習機であったビュッカー Bü 181 ベストマン(Bücker Bü 181 Bestmann/TP+CP)など日本では見ることができない珍しい航空機が展示されている。


魅惑的な1950年〜60年代のジェット戦闘機

この博物館の最大のコレクションは何と言っても冷戦時を代表するジェット戦闘機群である。 代表的な展示機としてはホーカーハンター(Hawker Hunter/IF-70)、フィアットG91(Fiat G91),RF−4Cファントム(McDonnell Douglas RF-4C Phantom/68-0590/SW)、CF100カナックMk.5(Canuck /18534)、ノースアメリカンF-86Fセーバー(North American F-86F Saber)、ロッキードT−33A(Lockheed T-33A/FT-34)、リパブリックF-84F(Republic F-84F/FU-30)、サーブJ35ドラケン(Saab J35 Draken)、ミコヤンMiG-23BN(Mikoyan MiG-23/Flogger)などなど翼が重なるように所狭し展示されている。

展示機の中でも注目したいのは欧州の航空博物館で実機を見ることが稀なCF-100 カナック(Canuck)である。カナック(Canuck)とは「カナダ人」の意味であり、その意味の通り、この戦闘機はカナダで設計、生産された唯一の戦闘機であった。

このCF-100 カナック(Canuck)は1950年に初飛行に成功し全天候型の戦闘機として冷戦時代のカナダの防空に従事した機体であった。 音速を超える設計ではなかったが

エンジンはターボジェット2基を胴体の左右に並べて翼の上に配置し、片発停止時の安定を確保している設計でもあった。 CF-100カナックの最終生産機数は692機でカナダ以外ではベルギー空軍が配置し、1981年に全機退役するまでベルギーの国防を担った戦闘機であった。


サベナはベルギーのレジェンド

大きな博物館のなかに、小さな民間機展示コーナーが併設されている。 展示内容は2001年まで日本線を開設していたサベナベルギー航空(Sabena Belgie)の歴史と客室(モックアップ)である。「サベナ(SABENA)」という言葉は、フランス語の"Société Autonyme Belge d'Exploitation de la Navigation Aérienne"(直訳すると「ベルギー航空航法サービス会社」)の各単語の頭文字を取ったものであり、垂直尾翼には「S」象ったマークが付けられていた。

博物館の入り口を飾る元サベナ航空のSud SE-210 Caravelle(カラベル)/ OO-SRAは1961年1月20日にデリバリーされジェット化時代を牽引した航空機であった。本機の最終飛行時間は28,458時間であり、1975年5月にこの博物館に寄贈された。

また、博物館の一角には航空機の修復を行えるレストア施設が設けられ平日であれば、実際の作業工程を見学することも可能である。

館内には簡単な軽食が取れるカフェもあり、見学に疲れたら自由に休むことも可能である。時間をかければ見学時間はいくらでも欲しいが、忙しい方には航空機のみを2時間くらいで見て廻れるのも魅力の一つでもある。 観光の傍で是非、一度は足を運んで欲しい博物館である。


訪問のための一般情報

王立軍事歴史博物館

Royal Museum of the Armed Forces and Military History

Brüssel,Belgiun


住所 :Parc du Cinquantenaire3, 1000 Brüssel

開館日 :火〜金曜 09:00-17:00 / 土・日曜・学校の祝日など 10:00-18:00

定休日 :月曜

入館料 :基本無料(一部展示は有料)/入り口で手荷物検査あり(大きな荷

          物はロッカーに預ける)

ホームページ :http://www.klm-mra.be/

交通アドバイス:

王立軍事博物館はブリュッセルのサンカントネール公園内にあり、ブリュッセルに行くチャンスがあれば半日観光気分で気軽に行ける場所にある。

東西に走るメトロ1B号線なら「MERODR(メロード)」駅で博物館のすぐ裏手に、メトロ1A号線(メトロ1Bでも)なら「SCHUMAN(シューマン)」駅でサンカントネール公園正面に到着できる。


 ◽️掲載誌:月刊航空情報 2020年1月号 / せきれい社


General information for visits


Royal Museum of the Armed Forces and Military History

Brüssel, Belgiun


Address: Parc du Cinquantenaire 3, 1000 Brüssel

Opening days: Tuesday-Friday 09: 00-17: 00 / Saturdays, Sundays, school holidays, etc. 10: 00-18: 00

Regular holiday: Monday

Admission: Free-to-play (some exhibits are charged) / Baggage inspection at the entrance (large cargo)

(Leave things in a locker)


Traffic advice:

The Royal Military Museum is located in the Saint-Cantonaire Park in Brussels, where you can easily go for a half-day sightseeing if you have a chance to go to Brussels.

You can reach the front of Saint-Cantonaire Park at "MERODR" station on Metro 1B, which runs east to west, just behind the museum, and at "SCHUMAN" station on Metro 1A (even on Metro 1B).


◽️ Published Magazine: Monthly Aireview January 2020 / Sequireysha Ltd.

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